段差も土間もない、アクセシブルな玄関に
〈9794〉
https://anity.ootaki.info/9794/
以前『向かいのおばあさんが、ピンポンを押して、回覧板を持って来てくれるようになった』と、住まいてさんから言われたことがありました。そのお住まいはバリアフリー住宅、建て替えるにあたり、道路から玄関ポーチまで、ゆったりとしたスロープのあるお住まいでした。きっとこのお住まいでも、そんなコミュニケーションがありそうな気がします。
外構計画と一体と考えた、アクセシブルな玄関室です。袖壁が大きなガラスになっている、玄関引き戸です( 2018.01.12)
2018.01.12
この玄関ポーチへのアクセスは、2通りあります。ひとつは「4段の階段」、もうひとつは「カーポートから続くスロープ」。車いすで回転ができるように、玄関ポーチは90cm広くなっています。
ゆったりとさせるだけでなく、玄関ポーチに陰影をつくることになり、白い外壁にメリハリができて、面白くなりました。軒天井の高さが低い住宅は、外観がスッキリと見えます。玄関引き戸の上端は、ぴったりと軒天井に合わせました。
この玄関室には、段差を造らないようにするため、「土間」がありません。この玄関引き戸は、袖壁が大きなガラスになっているので、思いのほか玄関室は、白い壁と相まって明るくなりました。
床材は、フローリングのように見えますが、木目の長尺シートです。長尺シートの方がフローリングよりも、小さな砂利に強いからです。
長尺シートの上にはマットを敷き、玄関収納は床から少し浮かべ、玄関室のお掃除を、しやすくしました。玄関引き戸の脇には、壁に埋め込むポストを取り付けました。
観葉植物が置いてある台は、来客があったときのベンチにもなります。
玄関室から直接LDKに入ります。廊下は極力省きました。限られたスペースを有効に使うためですが、もうひとつ理由があります。住まいの中に寛いでいるときには、「玄関室の存在を消したい」からです。
一方、外(道路側)からは、明確にわかる位置に玄関ポーチをつくること。玄関ポーチの見えない家は、近所とのコミュニケーションを、避けているように見えてしまうからです。
「玄関室と玄関ポーチ」をどこにするのか、間取りの中でとても大切です。『玄関を間違えた間取りは、全てが間違ってしまう』という気持ちで、どのお住まいも考えています。
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