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いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

〈9755〉

このスケッチをよく見ると、細い線と太い線が入り混じっています。細い線は迷っている壁の位置、太い線は確信を持てた壁の位置。ピンポン玉のような円は車いすの回転スペースで、この住まいてさんの回転に必要な直径は「110cm」でした。動線の端部や動作が発生する場所では、車いすが回転できることを確認しています。

いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

住まいの間取りとは...、住まいの設計とは...、つまるところ、「どこに壁を造るのか」ということに、尽きるのではと思っています。このスケッチは、私自身が「これだ!」と確信を得た時のものです(2018.02.20)

2018.02.20

いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

西側(右)の寝室は、車いすユーザーの住まいてさんが使うので、専用のトイレが隣接しています。このトイレは寝室から直接入れ、廊下に面した入口もあり、LDKからも行き来しやすくなっています。

いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

左の写真は、寝室からトイレを見た所、建具に鏡をはめ込みました。右の写真は、トイレから寝室を見た所、トイレが明るいのは、トップライトからの採光です。平屋だからこそできたことでした。


話は変わりますが、設計時には、住まいてさんはアメリカにお住まいのでしたので、国際電話でのやりとりが、打ち合わせの中心となりました。住まいてさんが電話しやすい午後6時は、私が電話にでにくい早朝4時でした。

いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

1回の電話で、2時間ほどの打ち合わせになりました。住まいてさんは、私との電話を終えると、今日の1日を終え、逆に私は、住まいてさんとの電話を終えると、窓の外は明るくなっていて、私の朝が始まりました。


なるほど、ひとりひとりの朝は繋がっているのかと、面白く感じました。谷川俊太郎の詩の中で、私が2番目に好きな詩をご紹介します。

いつもどこかで朝がはじまっている、ぼくらは朝をリレーするのだ

朝のリレー

カムチャッカの若者が

きりんの夢を見ているとき

メキシコの娘は

朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女が

ほほえみながら寝がえりをうつとき

ローマの少年は

柱頭を染める朝陽にウインクする

この地球で

いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交換で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと

どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる

それはあなたの送った朝を

誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

谷川俊太郎 『谷川俊太郎詩集 続』 思潮社 2002

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大瀧雅寛 (おおたきまさひろ)

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