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大瀧雅寛 ↘

「2年以上」も設計をしてきた、バリアフリーな平屋の住まい

〈9756〉

『すぐに着工できるか』が、建築業者の選定条件の一つですが、逆に『すぐには着工しないでほしい』と、依頼されることもあるのです。車いすユーザーと高齢のご両親のためのお住まいです。住まいてさんから『木造の平屋の住まいを建てたい。車いすで暮らしやすいバリアフリーにしたい』という要望に加え、『いかにもバリアフリー住宅にはしないでほしい』という、この住まいを核心となる大切な要望にも向かい合い、「2年以上」も設計させていただきました。

「2年以上」も設計をしてきた、バリアフリーな平屋の住まい

間取りは方眼紙のような、マス目に従って壁をつくります。関東地域ではひとマス「910mm(3尺)」が一般的なのですが、このお住まいではひとマス「1224mm(4フィート)」。設計時にはアメリカにお住まいだった、住まいてさんのスケール感に合わせたからです(2018.02.19)

2018.02.19

南側を上にして、拡大しました。南側(上)が、広い道路に面しています。西側(右)に玄関があり、北側(下)が水回りスペースです。大きなLDKは、南東に庭を残すように四分円の形状にしました。

「2年以上」も設計をしてきた、平屋の住まい

そのLDKを中心にして、3部屋の寝室と和室があります。LDKの東側(左)の寝室と、西側(右)の和室、高齢のご両親は、どちらの寝室を使うことになっても、LDKに行き来がしやすく、LDKからも目が届きます。

「2年以上」も設計をしてきた、平屋の住まい

玄関の位置は、一般的に道路に面する位置につくりますが、あえて、道路から離れた西側にしたことには、理由があります。

道路に面した門扉から、玄関までの「アプローチ」を長くでき、車いすで昇降しやすくい「スロープ」にできるのです。80cmの段差に対して長さ9mのスロープ、「1/11」の勾配です。


この住まいは「2年以上」も設計をしていました。というのも、依頼された当初から、2年後の着工を想定していたからです。

最初の1年間はプランのスケッチだけを、ただただ描いていました。下にあるスケッチは、私自身が「これだ!」と確信を得た時のものです。

「2年以上」も設計をしてきた、平屋の住まい

このスケッチをよく見ると、細い線と太い線が入り混じっています。細い線は迷っている壁の位置、太い線は確信を持てた壁の位置。

住まいの間取りとは...、住まいの設計とは...、つまるところ、「どこに壁を造るのか」ということに、尽きるのではと思っています。

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