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大瀧雅寛 ↘

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

〈9356〉

ほとんどのマンションの廊下は、玄関ドアとリビングドアが向かい合う、窓のない単調な空間になっています。バリアフリーにかかわらず、マンションリフォームを依頼された時は、この単調さを打ち消すことを考えています。このお住まいでは、廊下にアルコーブを作り、「多目的」な水回りコーナーにしました。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

水栓器具とシンクと収納、そして飾り付けできる壁面、楽しい多目的も水回りスペースになりました。アルコーブとは、部屋や廊下の壁面のくぼみ状の部分のことです。以前はトイレだったスペースです( 2020.01.25)

2020.01.26

このお住まいに久しぶりに訪ねると、どこかのカフェのような、楽しげなスペースになっていました。私には、このような楽しい飾り付けができないので、やや敗北感を感じながらも、感動し嬉しくなりました。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

言い訳のように聞こえますが、このお住まいに限らず、インテリアや飾り付けまで、私が提案することはありません。竣工した後のほんとうの「仕上げ」は、住まいてさんに任せた方がいいと考えているからです。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

私が理想と考える住まいは、シンプルな白い器のような「脇役に徹する」住まいです。そのためにこの狭いスペースで工夫したのは、マルチシンクと収納をひとつの壁面にまとめ、残りの2面の壁を、飾り付けのために残したことです。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

住まいてさんが車いすで寄り付きやすいように、やや低めに取り付けたマルチシンクです。その上には可動式棚板と吊り戸棚を取り付け、ヘルパーさんが効率良く家事をこなせるようにしました。毎日使う色取り取りの洗剤類は棚に並べ、この白い空間を彩らせました。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

飾り付けのための 2面の壁を、住まいてさんファミリーが楽しく飾りつけることにより、水回りスペースにありがちな退屈さと、玄関からリビングへ続く廊下の退屈さを、打ち消してくれているようでした。

廊下のアルコーブを「多目的」な水回りスペースに

「多目的」という意味は、車いすユーザーの住まいてさんやヘルパーさんが便利に使える水周りとしての意味だったのですが、ギャラリーをも兼ねた、さらなる「多目的」な空間として、住まいさんは住みこなしていたのでした。

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