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大瀧雅寛 ↘

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

〈9335〉

この車いすユーザーの住まいてさんは、短期間だけ実家に戻ることになりました。数ヶ月だけの滞在なので、間仕切り壁やドア枠を撤去するなどの大掛かりな工事をせずに、元に戻せることを前提とした、最低限のバリアフリーリフォームをと考えました。車いすの座面の高さに合わせるために、トイレをかさ上げし、トイレ全面に移乗台を設置しました。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

便器を正面に見るレイアウトのトイレです。車いすを廊下に残したまま、ソフトマット仕上げの移乗台に、横付け移乗します( 2020.06.23)

2020.07.01

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する トイレは入口から見ると正面に便器を見るレイアウトで、トイレの幅は106cm、奥行きは137cmの広さです。入口の開口幅 57cmしかなく、車いすで中まで入ることができませんでした。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

間仕切り壁やドア枠を撤去するなどの、大掛かりな工事が必要になると、私には思えたのですが、作業療法士さんから、「ドアを取り外し、トイレ全面に移乗台を設置すれば、廊下からトイレを左手にみた状態に車いすを寄せれば、移乗できるのでは」と、アドバイスをいただきました。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

なるほどこの方法なら、大掛かりな工事は必要なく、現況に戻すことも容易です。トイレ前の廊下の幅が、通常よりも 27cmほど広い 105cmあったことも、好都合でした。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

便器を既存をそのまま利用しますが、便器を 85mmかさ上げし、便座までの高さを 49cmと高くしました。便座の上に「やわらか便座」を載せると、床から 52cmの高さとなります。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

移乗台の高さは、車いすの座面と合わせることが大切ですが、住まいてさんは車いすが、この移乗台設置の翌月に変わることになっていました。現在の車いすの座面は 51cmで、新しい車いすの座面は 53cmと、2cm高くなる予定です。「やわらか便座」の高さ 52cmは、その中間となります。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

移乗台にはアジャスターを取り付け、高さを調整できるようにし、設置時には 51cmの高さにしました。トイレの移乗台では、掃除がしやすく滑りやすい「ビニールレザー仕上げ」にするのですが、この移乗台の使用は短期間なので、浴室などで利用する、安価な「ソフトマット仕上げ」にしました。

1帖のトイレをお座敷トイレにして、廊下から横付け移乗する

ドアを外した替わりにシャワーカーテンを掛け、青のクッションをドア枠にはめ、ぶつかっても大丈夫なようにしました。住まいてさんの使いやすさという点では最適なトイレではありませんが、コストを抑えること、現状復帰がしやすいことなどを優先した、トイレのバリアフリーリフォームとなりました。


こちらのお住まいでも、狭いトイレ全面に移乗台を設置し、廊下から移乗します。

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