納まり。苦難に立ち向かい、解決せよ
〈9819〉
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「納まり(おさまり)」とは、「複数の材料の取り合わせ方、その寸法調整、そして最終的にどう仕上がるか」のことです。設計中の事務所内でも、工事中の現場でも、よく使う言葉です。所詮、住み心地には関係のない、細部の話ではないのか」といわれるかもしれませんが、私はこだわりたいのです。「神は細部に宿る」のです。
京都を訪ねて感じる美しさは、「伝統の合理主義」から表出されているようです。例えば、京都の妙心寺にある井戸。井戸の両側には柱が立ち屋根がかかっています。よく見ると、柱は木と石とが継がれていて、とても美しく感じました。(2017.12.18)
2017.12.18
納まり(おさまり)
部材同士の取り付け具合や、取り合わせの状態。または総合的な仕上がり具合。
合理的で調和がとれた取り合わせになることを、納まりがよいという。
京都妙心寺に、美しい井戸を見つけました。
木の柱を直接地面に埋設すると、長い時間では腐食してしまいます。
とは言え、石の柱では耐久性はありますが、色気や遊び心に欠け、
美しくすることは難しいそうです。そこで、適材適所に組み合わせたのでしょう。
この柱は見た目だけのデザインではなく、合理性に裏付けられたデザインでした。
デザインとは、単に見た目をよくするのではなく、「問題解決」であると考えています。
そして、問題解決をした後は、「遊び心」というスパイスも少々... 。
「納まり」を学びたかった私は、現場では職人たち、多くの建築家に尋ねました。
・平面図(二次元)を見て、立体(三次元)を思い浮かべること
・立体(三次元)を見て、どのような図面(二次元)を書けばいいのか、考えること
・施工の誤差のなくすことはできない。その誤差をどこで吸収するかを決めること
・複数の材料が取り合うとき、「対等」にするのではなく、「主・従」にする場合もある
・「主・従」の関係を材料に持たせるとき、どちらが「主」、どちらが「従」であるべきか考える
ものの本質を体で理解し尽くすこと
通りすぎるだけの渡り廊下でしかないが、
こんな空間こそ、美しい空間に昇華させないといけない。
現場ではひとりの大工(弟)が、その条件を合理的に解決し、
最初から計画されていたかのように、造ってしまいました。
そのような苦境におちいらなかったら、
生まれ得なかったような、鋭い美しさがつくり出されているのである。
建築のあり方を体で理解していたゆえに、合理的に納めて美しい形をつくり得たのだ
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