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大瀧雅寛 ↘

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

〈9720〉

近所の中学校から、『体育館のステージの両側の壁にひとつずつ、額縁を取り付けられないか』と、依頼されました。高さは1.6m、幅は4.6m、畳5枚ほどの大きな額縁、そんな額縁を造るという仕事は、始めての仕事でした。そのご褒美にと、特別に「3年生を送る会」に、出席させてもらえたのでした。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

自分の中学校の卒業式のことは、あまり覚えていないのですが、何か自分の表現をしようと、一生懸命「背伸び」をしていた気がするのです。ですが、その「背伸び」、今でもずっとそうしているみたいで...(2018.03.27)

2018.03.27

工房で製作した部材を、体育館に持ち込み、

体育館での取り付け工事は、2日間でした。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

壁は、コンクリート打放し、コンクリートの施工精度がよく、

表面の不陸が少なかったので、下地組みはしませんでした。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

しな合板の四方に額縁を廻します。額縁はひばの無垢材です。

絵が引き立つように、こげ茶色の塗装をしました。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

ステージの左側の額縁には、美術部の作品が貼られました。

額縁の高さは、ロールの模造紙の幅(153cm)に合わせました。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

内部空間にこそ、その建物の価値があると、私はいつも考えています。

体育館という建物の、内部空間。建築家から聞いた話を思い出しました。

『タンゲやイソザキ、巨匠が創る空間は、空間そのもので良し悪しを見てはいけない』

『その空間が、たくさんの人たちを包み込んだとき、その空間の包容力を見よ。巨匠たちでなければ生み出せない「包容力」こそ、巨匠と言われる所以である... 』


造り付けの額縁の取り付け工事から8日後、

中学校で3年生を送る会が行われました。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

私も父兄さんたちと一緒に、参加させてもらいました。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

卒業式には、こんな壁画もありました。天の川に星座が浮かんでいます。

ふたご座の左上に、見慣れない星座が?

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

私の友人でもある理科の先生に聞いたところ、

「なすび座」というそうです。

いや、確かそこは、蟹座だったと思うのですが... 。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

『大切なことは、始める前から、あきらめないこと』

3年生からのお礼の言葉です。胸にしみました。

そのステージの右側の額縁には、『新たなる航海へ』。

体育館の造り付け額縁に貼られた『新たなる航海へ』

卒業生のみなさまに、私の好きな言葉をご紹介させてください。

『船は港にいる時が、一番安全であるが、それが船の目的でない』

パウロ・コエーリョ

人生の意味とは、自分が「やりたい」と「思うこと」をすることです。

ひとりひとりの挑戦は、必ず、私たちに何かを教えてくれます。

私の場合で言うのなら、敗北でさえも、そうなのでしたから。

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