機能だけではなく、遊び心を持たせた、バリアフリーなトイレ
〈9459〉
https://anity.ootaki.info/9459/
先日、同業の他社さんから、たくさんの間取り図を見せてもらう機会がありました。どの住まいも外観やリビングなど、それぞれ個性的なのですが、一転トイレだけは、どれも個性がなく同じだったことが不思議でした。トイレは、デザインするに値しない空間だと、思われている様でした。
私は今まで、住宅に限らずたくさんの建物を訪ねましたが、心に残る素晴らしい建物は、トイレに至るまで丁寧に考えられていました( 2019.05.22)
2019.05.22
オオタキラジオを書き始めて、もうすぐ2年になりますが、住まいの空間別のハッシュタグの中で、もっとも多く書かれたのは、「トイレ」関連の記事でした。すでに20記事を超えました。
予想外でしたが、なるほど、その理由はわかります。私は、「ひとりひとりに合わせて設計すること」が、バリアフリーに限らず、住まい全般にとって大切だと考えていて、そのことが端的に現れるのが、まさに「トイレ」だからです。
私の事務所には、バリアフリー住宅のご依頼を多く頂いています。バリアフリーなトイレは、一般的な住まいのトイレと比べると、「大は小を兼ねる」と、「広いだけのトイレ」となりがちですが、大切にしていることがあります。それは「遊び心」です。
このお住まいのトイレは、車いすでの使いやすさを考え、2帖と広いスペースを確保し、洗面としても使える様にしました。便器と手洗い器をわずかに傾けると、トイレ全体が楽しくなりました。
便器を傾けた理由は、楽しくするためだけでなく、他にもありました。私たちは無意識にうちに、自分の体を壁に対して、平行、直角の関係を、保とうとしていると思います。私だけ、なのかもしれませんが... 。
それが、便器に腰掛けた瞬間、オーバーに言えば強制的に、傾いた「景色」と向かい合う。それが「面白いな」と思ったのです。
便器に座った時の手元の明るさ、窓や照明との位置関係だけではなく、「便器に座った時に、真正面に見えるもの」も、大切にしました。
聞くところによると、最近のスマホの普及により、トイレの滞在時間は、長くなったそうです。
トイレの滞在時間は、ひとりひとり様々だと思うので、機能だけではなく、「遊び心」を持たせて、長くいても居心地よく、退屈しない様にと考えています。
そんな話を住まいてさんにしたら、共感いただきました。このトイレの内装の仕上げは、住まいてさん家族のみんなで、明るく楽しく仕上げてくれました。
お伺いすると長居したくなる、お住まいなのですが、トイレもなおのこと、長居したくなる空間になりました。
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大瀧雅寛 (おおたきまさひろ)
有限会社 大滝建築事務所 代表
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