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『建築家になりたいのなら、楽器をひとつ始めなさい』

〈9345〉

20代前半の頃の私は、建築を創り上げる哲学を教えてもらいたくて、多くの建築家を訪ね歩いていました。『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』、ある建築家から、そう言われたことがありました。休日のお昼過ぎ、私は下のリビングから流れてくる、フルートが奏でる音に、そんな30年も前の思い出をふと思い出したのでした。

『建築家になりたいのなら、楽器をひとつ始めなさい』

娘の成長と自分の成長とを重ね合わせること、点と点をつなぐこと、私の仕事( 2020.04.26)

2020.04.28

高校生の頃、建築科のクラスメートと一緒にロックバンドを結成し、私はキーボードを弾いていました。卒業してからは少しだけエレクトーンのレッスンを受けたものの、次第に楽器から離れてしまいました。『何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』の教えを守れなかったことを気にしつつ、今に至っています。

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

演奏する側ではありませんが、車いすユーザーが楽しくピアノを弾ける、バリアフリーペダルの開発していて、現在も開発進行中です。譜面台にiPadをたて掛け、スクリーンに譜面を表示し、頭の動きに連動し、譜面がめくれるように進化しています。

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

娘は中学校に入学すると同時に、「何か楽器を習いたい」とのことで、フルートを始めました。この 2020年の長い春休みで、ずいぶんと上手に吹けるようになりました。そのフルートの音は、2階の私の部屋まで流れてきて、のんびりと記事を書いている私を楽しませてくれます。

今のお気に入りの曲は、火曜ドラマ「恋はつづくよどこまでも」の主題歌だった、Official髭男dismの「I love... 」だそうです。なかでも、尾崎勇太さんの演奏に感動したそうです。


ところで、『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』という、その理由とは、いったい何だったのでしょうか? 

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

20代前半の私には理解できなかったのですが、その頃から30年を経た今の私には、いくらか理解できるようなになりました。次のようなことだと思うのです。

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

楽器を奏でるとは、音をつくること、いわば、空気をつくることです。対して建築設計とは、具象的にいえば「屋根や壁、天井や床などのそれぞれの部材に、形や寸法を与えること」です。一方、抽象的にいえば「空間を満たす『空気』そのものを設計すること」です。

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

建築の価値は、目に見える形にあるのでなく、目に見えない『空気』にこそあり、建築家の価値は、いかにその『空気』を創りあげるかにあります。その空気を感じるために「楽器をひとつ始めなさい」と、建築家は考えていたのだと思うのです。

『建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい』

その建築家は、『楽器でなくても、声という楽器、歌うことでもいいから』とも言いました。私は楽器を始めることはなかったのですが、この「オオタキラジオ」を書き続けることが、私にとっての楽器となりました。娘がフルートを奏でるように、私は今日も、記事を書き続けています。

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