「オンライン授業」から、居心地のよい住まいに思いを馳せる・1
〈9299〉
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昨年(2020年)3月の突然の臨時休校から、もう 1年になります。今年は 3学期が始まるとすぐに臨時休校となり、オンライン授業が始まることになりました。昨年はダイニングテーブルで「授業」を受けてたのですが、今年は場所を変えたいとのこと。娘が選んだ「教室」は、リビングの気持ちのいい窓際でした。
オオタキさんの家のLDKの一番心地いい場所に、机を置きました。娘はこの家が、このLDKが大好きなのだそうです。柔らかい光に包まれて、とても幸せな気持ちになるそうです。私と娘( 2021.02.07)
2021.02.07
このコロナ禍が、住まいを再考するきっかけとなるとは。マスクが必須アイテムとなった、昨年の今頃には想像することができませんでした。在宅での時間が増えたからなのか、住まいの快適にしたい方たちが増えて、私もたくさんの仕事の依頼を受けることとなり、対応に追いつかない状況が続いています。
娘もまた、昨年よりも快適な授業にしたいとのこと。机を 2階の寝室から、この窓際へと運んできたのです。ポカポカと明るく暖かい窓際の隅を、まるで猫のごとく娘は見つけたのでした。なるほどここなら、背面が壁なので落ち着きそうです。右手の影がノートに映りこまない、左側の採光です。
快適な環境でオンライン授業がスタートしました。休み時間には隣りのソファーに横になれて快適とのこと。ディスプレイの中の先生の板書を、真面目のノートに写し取る姿は真剣で、私が初めて見る娘の授業風景なのでした。思いがけなく、在宅での授業参観となりました。
先週の土曜日の食事時、娘がダイニングテーブルいっばいの資料を広げていたので、私はこの机で食事をすることになり、家内が夕食をこの机に並べました。私は初めてこの「席」に着き、料理を口にすると突然、とても懐かしい気持ちに満たされたのです。
それは 40年以上前の、中学生の時代の楽しかった給食の時間でした。クラスメートたちの笑い声が聞こえた気がして、びっくりしました。私はここを、本当の教室だと思っていたことを気づき、ひとり苦笑しました。そしてその余韻を感じながらも、私は住まいの大切さに思いを馳せました。
私たち家族はこの家が大好きなのですが、一体この家には何があるというのでしょうか。壁があって床があって、窓があって家具があるだけ。これだけのものがあるだけですが、もうひとつ大切なものがあります。
それは「空間」です。この空間に満たされている空気です。この目に見えぬ空気こそ、住まいの一番大切なものだと考えています。心地よい空間を求めることは、ヒトに限ったものではなく、生き物の本能のようなものだとも思っています。
そしてこの「空間」こそが、私が住宅の設計に人生を賭けるに値するものなのです。 「空間」について、うまく書けるがわかりませんが、次のコラムに続きます。
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大瀧雅寛 (おおたきまさひろ)
有限会社 大滝建築事務所 代表
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