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大瀧雅寛 ↘

京都妙心寺の井戸に見た、伝統の合理主義

〈9979〉

京都を訪ねて感じる美しさは、「伝統の合理主義」から表出されているようです。例えば、京都の妙心寺にある井戸。井戸の両側には柱が立ち屋根がかかっています。よく見ると、柱は木と石とが継がれていて、とても美しく感じました。

京都妙心寺の井戸に見た、伝統の合理主義

柱の上部は木なのですが、下部は石になっています。大工と石工にによる共同作業によるものでした(2003.10.30)

2017.07.11

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木の柱を直接地面に埋設すると、長い時間では腐食してしまいます。とは言え、石の柱では耐久性はありますが、色気や遊び心に欠け、美しくすることは難しいそうです。そこで、適材適所に組み合わせたのでしょう。

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この柱は見た目だけのデザインではなく、合理性に裏付けられたデザインでした。私はデザインとは、単に見た目をよくするのではなく、問題解決であると考えています。そして、遊び心も... 。

ものの本質を体で理解し尽くすこと

合理の精神に徹し切れば、遊び心も自由に流動する。

遊び心がなく単なる思いつきに終始する、石頭の近代合理主義からは、ものが生み出せるはずがない。

ものの本質を体で理解し尽くすのでなければ、遊び心など出ようはずがない。本当にものを躍動させうるのは、この遊び心なのだ。

『西沢文隆―伝統の合理主義 (建築・note)』西沢文隆

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