正六角形の柱を途中で消す、大工さんの「手品」〈9972〉

幼稚園の一番見晴らしのいい場所に造り始めた、正六角形の展望台です。幼稚園での主役は子どもたち。子どもたちに魔法を見せたいと考えました。屋根の中心を支える太い鉛筆のような正六角形の柱、大工さんの「手品」で、その柱を途中で消してみました。

正六角形の柱を途中で消す、大工さんの「手品」

木工事を左官屋さんが、不思議そうに見上げています。こういう不思議な面白さを、「アイロニー」と言うそうです(2017.07.18)


正六角形の角柱から、斜めに登っていく隅木が、この手品の仕掛けです。

この隅木が、お互いにもたれ合ってバランスをとり、屋根の荷重を支えます。

中心に柱には荷重がかからないので、このように、途中で消しても大丈夫なのです。

こう言う不思議な面白さを、「アイロニー」と言うそうです。

イロニーもしくはアイロニー(英: irony, 独: Ironie)は、表面的な立ち居振る舞いによって本質を隠すこと、無知の状態を演じること。

ja.wikipedia.org/wiki/イロニー

アイロニカルやアイロニーに、ぴったりな日本語は見つかりません。「皮肉を含んでいるさま、皮肉な」という意味と言いますが、ユーモアやシニカルとも、異なるニュアンスです。


建築の世界では、上記の意味とも異なるニュアンスで使われているようです。

ふと思い浮かぶのは、神奈川県藤沢市の秋葉台文化体育館です。

メインアリーナとサブアリーナとを結ぶ、

エントランスホールに等間隔で並ぶ、コンクリートの頑丈な壁柱に、

私は、アイロニーを感じたのでした。

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エントランスホールの天井は、一面のコンクリート打放しです。

言わば「重い天井」です。

私たちは当然、コンクリートの頑丈な壁柱が等間隔に並び、

この「重い天井」を支えていると期待します。

しかし、その壁柱を、下から上へと視線を移動させていくと、

天井に接する直前で壁柱は終わってしまう。

天井を支えていないのです(実際は鉄骨の細い柱で支えていますが)。

このような、私たちの期待を裏切っていく不思議な面白さに、

私はアイロニーを感じたのです。

この建物を設計した槇文彦の講演会で、

私は初めて「アイロニカル」と言う言葉を耳にしたのです。

日本の建築家(一級建築士)。モダニズム建築の作品や幕張メッセなどのメタリックな作品で知られる。

ja.wikipedia.org/wiki/槇文彦


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この展望台を「幼稚園の大好きな場所」にあげる、

子どもさんが多いと聞きました。