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大瀧雅寛 ↘

斜めに歩けるように工夫した延段(石張りの通路)

〈9963〉

「東京は、ひとつ曲がり角を曲がり損ねると、目的地からどんどん離れていってしまう」。都内を建築散策したときの、京都の友人の言葉です。京都の町は条坊制(じょうぼうせい)、「碁盤の目」のように通りがあります。「近道がない代わりに、曲がりそこねても、次で曲がれば大丈夫」とのことです。一方、京都の境内では、小さな近道がひっそりと作られているようです。

斜めに歩けるように工夫した延段(石張りの通路)

京都を尋ねると、何かヒントがないか隅々まで見てまわります(2003.10.03)

2017.07.27

京都、妙心寺。左側が本来の延段(石張りの通路)で、右側の延段は後から付け足されたもののようでした。斜めに大きな石を敷き込み、斜めに歩けるように工夫してありますね。

直角に曲がるときは、歩く速さを落とさないといけないので、無意識のうちにストレスになっているのかもしれません。

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左右の建物へは、斜めにアプローチしています。これは、近道というより、建物を斜めに見せるためなのかもしれません。というのも、建物は真正面から見るよりも、斜めからの方が立体的に見えるので、建物はいい表情をするものです。プロフィール写真も、正面から撮るのではなく、やや斜めから撮った方が、生き生きといい表情になりますよね。

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一方、この「斜めにアプローチ」や「近道」の配慮していない建物って、よく見かけませんか。

建物が出来上がって、歩く人たちによって、芝が剥がれてしまい、獣(けもの)道ができてしまう。設計者にとって厳しい光景です。

設計者にとって、外構の設計は、たくさん描く図面でも最後の方です。力果てているときに描かれているからなのかも... 。ここだけの話ですが。

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