「1038冊」収納、はしご付きの大きな本棚
〈9951〉
https://anity.ootaki.info/9951/
今から55年ほど前、昭和30年代に建てられたこのお住まいは、今時の住まいがどこかに置き忘れてしまった、「おおらかさ」が魅力的です。ファミリールームとして使われているこの部屋は、10帖の広さで天井の高さは346cm。この気持ちのいい空間に、はしご付きの大きな本棚を造りました。*
今から55年ほど前、この部屋はピアノ室として計画されました。東京オリンピックの数年前です(2017.08.08)
2017.08.08
このお住まいの玄関の壁は、大谷石がアクセントになっています。
左側のドアの向こう側が、ファミリールームです。
玄関の大谷石の裏側の壁に、本棚を造り付けることになりました。
この本棚の幅は242cm、高さは262cmと大きなものです。
1台の本棚というよりは、3台の本棚が重なったような形です。
上段は手が届かないで、可動式のはしごを造りました。
はしごを軽くするために、パイン材を選びました。
一方、本棚の素材は、タモの板目の突板です。
大きな本棚なので、圧迫感が出ないように、できるだけ薄くしました。
上段と中段の奥行きは、奥行き23cm。下段は奥行きは、39cmです。
上段は3段、17cmから21cmの高さの本を並べます。
中段は、4段と3段の組み合わせです。
4段の場合は、21cmの高さの本を並べます。
3段の場合は、29cmの高さの本を並べます。
この上段と中段で、15mの収納長さを確保しました。
本の厚さを1.8cmとすると、「836冊」収納できます。
下段は引き違い扉の中に、30cmの高さの本を2段収納できます。
収納長さは364cm、本の厚さを1.8cmとすると、「202冊」収納できます。
本棚全体で「1038冊」収納できるのですが、ピンとこないのですね... 。
日用品を収納できる、4段の引き出しも造りました。
引き出しの高さを変え、収納するものに合わせました。
引き手は取り付けずに、引き出し前板の下部に、
指のかかる引き手を、彫り込みました。
下段の引き違い扉は必ずしも必要なかったのですが、
おおらかな空間の中で、デザインが引き締まると考えたからです。
下段の高さを90cmと高めにしたのも、同様の理由からです。
家具の塗装は工房ではなく、取り付け後に行いました。
色の調合を考えていく中で、天井の板の色を目標にしました。
はしごの色は、お手持ちのテーブルに合わせました。
『なかよく(たのしく)遊びましょう』。
「大きな栗の木の下で」は、 誰もが好きな童謡ですね。
この「はしご付きの大きな本棚」の周りには、
本だけではなく家族の大好きなものが、たくさんあります。
この本棚は、家族の楽しい思い出が、集積していくような、
「大きな栗の木」になって欲しい、と願いました。
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