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大瀧雅寛 ↘

「目地」にこそ、美しさの秘密がある

〈9947〉

「せぬ所が美しき」。乱形石を張り詰めたアプローチが美しく見えるとしたら、それは石が持つ素材としての美しさだけではありません。石と石とを繋いでいる「目地」にこそ、その美しさの秘密があるのです。

「目地」にこそ、美しさの秘密がある

乱形石の割り方には「うまい」「へた」があります。目地の幅が不均等に広くならないのが、うまい割り方です。隣り合う石と石とを、お互いに割っていきながら摺り合わるので、実面積の1.5倍ほどの石が必要です。

2017.08.12

既存の植木や排水マスを避けながら、玄関ポーチを造ったら、自然とピアノカーブになりました。

そのカーブを活かして乱形石で仕上げることになりました。

乱形石は石の選定よりも、まずは「割り方」が重要です。

隣り合う石と石とを、お互いに割っていきながら摺り合わせ、目地の幅が不均等に広くならないのが、うまい割り方です。

「せぬ所」とは、「舞」や「謡」の所作の一節から次の一節に移る間の表現の静止、その短い間合いのこと

『出江寛―無頼の花 (日本の建築家) 』出江寛

目地こそ、「せぬ所」なのです。

素材の持つ表情をより輝かせること。しかし、素材が持つ表情に頼りきらないこと。

創るという気持ちを込めること。

素材の持つ表情を輝かせることの、手伝いをしているという、気持ちを込めること。

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私は、人の手が加わっていない自然よりも、人の手入れが行き届いている自然の方が好きなのです。

自然と人が、お互いに支え合っている付き合いが、好きなのです。里山に惹かれるのも、同じ理由からです。

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