icon

大滝建築事務所 ↘

ハッシュタグ ↘

大瀧雅寛 ↘

どこかにつながる窓(窓の役割)

〈9897〉

2017年10月1日の朝も、いつものように早起きしました。出窓の脇のリビングの窓です。ローマンシェードに映りこむ、サルスベリのシルエットは、雲ひとつない晴天を予感させます。こんな気持ちいい日曜日、私は2階にこもり、この記事を書いています。

どこかにつながる窓(窓の役割)

ローマンシェードは、外の景色を映り込ませるスクリーンとしての役割もあるのですね(2017.10.01)

2022.03.11

どこかにつながる窓(やさしい住宅)

最近、道路面に窓を極力つくらない外観が、「デザインが良い」といわれる事があります。しかし、そのような住まいでは、ご近所付き合いが難しくなりそうです。カフカ自選の小品集『観察』の中で、窓について、こんな叙述がありました。

取り残されて生きているけれども、どこかにつながりを求めている人、移り変わっていくと時刻、天候、職業などを考え始めると、とにかく何でもいいから、自分を支えてくれるような腕が欲しい。そんな気持の人 -- この人は、街にむいた窓が、どうしても必要だろう。

フランツ・カフカ『街にむいた窓』みすず書房 2010

私のような内向的な性格なら、その性格を補ってくれるような、道路面にたくさんの窓がある、こんな住まいがぴったりでした。


2011年、東日本大震災から数日後、関東地方では一日に3時間ほど、計画的に停電させることになりました。

どこかにつながる窓(やさしい住宅)

我が家のダイニングの窓は出窓です。出窓には常に、携帯電話とラジオを置きました。どんな時でも、どこかとつながり、我が家だけではないのだと、思わせてくれる優しさを、この出窓が持っているように感じました。

https://anity.ootaki.info/9897/