表千家のお茶室 現代の材料で水屋をつくる
〈9867〉
https://anity.ootaki.info/9867/
マンションの中にある表千家の教室です。和室を8帖の京間にするリフォームにあわせて、水屋も新しく造り替えました。表千家の手本をただ写すだけでなく、この決められた条件の中で、合理的に解決していくことを大切にしました。
水屋の棚は、どのように使われるかによって、桧・杉・竹を使い分けること(2017.10.31)
2017.10.31
水屋の上部には、3種類の棚があります。
右側の隅あるのが、「隅棚(すみだな)」、流しの上には、広い幅の2段の棚があります。
上段が「通し棚」、下段が「すのこ棚」です。
「隅棚(すみだな)」は、大きさ約27cmの正方形の2段の釣り棚です。乾いている大切なものを置くので桧板でつくり、竹で釣っています。
上段の「通し棚」は、奥行き約29cmの桧板でつくりました。この棚も乾いている大切なものを置きます。
桧板には、たけのこ模様の美しい木目があります。たけのこ模様の広い方が木の根です。根が左側にくるような木目を割り付けることが、お茶のきまりです。
下段の「すのこ棚」は、奥行き約24cmの杉板でつくりました。この棚には濡れたものを置くので、2本の竹を入れて水はけをよくします。
濡れたものを置く棚は、桧でなく杉にするのも、お茶のきまりです。
「通し棚」「すのこ棚」の下の流しを、「水皿(みざら)」 と言います。
水皿に、竹で作ったすのこを敷きました。
水皿(みざら)は本来、銅板を折り曲げて造ります。隅は溶接しているのですが、耐久性の点では不安が残ります。
教室の水屋であること、マンションであることを考慮し、ステンレス製にして、キッチン用の排水トラップを取り付け、汚れがつきにくく、掃除がしやすくなりました。
水がはねてもいいように、3方向を腰板で囲みます。腰板も濡れるので杉板にします。
杉板にも、赤白のたけのこ模様の木目があります。たけのこ模様の広い方が木の根です。
根が左側にくるように、左側面から奥、右側面と、連続するように木目を割り付けました。赤みと白みの木目がはっきりと出るのが、杉板の個性です。
水栓は2口にし、浄水器も使えるようにしました。
腰板には、柄杓(ひしゃく)や、茶筅(ちゃせん)を掛けるための、竹釘を取り付けました。高さは、柄杓の柄(え)の長さに合わせます。
水屋を新しく造り替えるにあたり、「水皿」は銅板にするか、ステンレスにするか迷いましたが、合理的に考えました。
また、すのこの高さは床と平にするのが、本来の納まりですが、それでは、溢れた水で服が濡れてしまので、9cmほど高くしました。
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