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階段を「1階と2階とを繋げる段差」としてデザインする

〈9854〉

私の場合、車いす対応のバリアフリー住宅が仕事の中心になってます。だからなのか、「階段」そのものを、住宅の空間デザインの主役にすることはありません。このお住まいでは「階段」を脇に追いやりながらも、「1階と2階とを繋げる段差」として、デザインすることを思い付きました。

階段を「1階と2階とを繋げる段差」としてデザインする

このお住まいでは、タイルカーペット貼りの階段です。1階の床、2階の床と同じです(2017.11.13)

2017.11.13

このお住まいでは、無駄な所を極力なくし、床面積を切り詰めました。玄関土間(タイル)は、最低限の広さしかありません。

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狭さを感じさせなくするために、上がり框の段差を12cmと低くします。玄関床(タイルカーペットり)は、1m角しかないのですが、玄関土間(タイル)と、玄関床(タイルカーペット)を一体にできます。

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1m角しかない玄関床を、広く感じさせるために、玄関床と階段を同じ、タイルカーペット貼りにすることが、役立っているようです。

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蹴上げ(けあげ・階段の垂直面)は、集成材にしクリア塗装、踏み面(ふみづら・階段の水平面)は、タイルカーペット貼りです。

一般的な階段幅は 76cm程ですが、手すりが壁に付くこともあり、狭く感じてしまいます。このお住まいの階段の幅は 83cmです。7cm広くしただけでも、ずいぶんと広く感じるものです。

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階段は住宅の中で、浴室と並び、事故が多い場所です。階段には、安全にするための工夫が求められます。まずは階段の寸法です。

踏み面(ふみづら・階段の水平面)は、25cmと広くとり、蹴上げ(けあげ・階段の垂直面)は、19cmと低くしました。

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一般的な階段は、段鼻が3cm程出っ張っています。階段を昇る時の転倒は、つま先やスリッパの先が、この段鼻に引っかかることが原因です。この階段には段鼻がありません。急いで階段を昇る時も安全です。

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一方、階段を降りる時の転倒は、この段鼻が見えにくいために、どこが段差なのかわからず、階段板を踏み外してしまうとが原因です。

2階から1階を見下ろしますと、蹴込みと踏み面にメリハリができて、段鼻がくっきりと見える、安全な階段になりました。

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階段を昇りきると、廊下もまた床面積を切り詰め、1m角だけです。左手にドアがあり、室内に入っていきます。

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2階は広いワンルームになっています。正面の小さな窓は、外部に面している窓ですが、左側の引き違い窓は、1階を見下ろす室内窓です。

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1階は、コンクリート床のまま、壁はOSB合板を丁寧に貼りました。天井は屋根下地の合板を、そのまま見せています。天井裏がありません。電気配線は、天井裏に隠すことができないので、露出配線となりました。

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