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「OSB合板貼り放し」安価な材料に命を吹き込む木工事

〈9853〉

1階の床は、コンクリートの基礎スラブをそのまま見せています。そのコンクリート床に負けない、壁材をと考えました。一般的なビニールクロス貼りでは、優しすぎてしまいます。天井高も4m以上あるので、壁の面積も大きく、安価で強い表情を持つ素材、「OSB合板」を貼ることになりました。

「OSB合板貼り放し」安価な材料に命を吹き込む木工事

2階から見下ろすと、1階を一望できるのが気持ちいいです。今日は夕方に出向きました(2017.11.14)

2017.11.14

「OSB合板」とは、配向性ストランドボード(Oriented Strand Board)。木材の小片を、接着剤と混ぜて熱圧成型した、構造用合板の一種です。「低質な広葉樹を加工して構造用合板にする」という所が好きなのです。

もともとOSBは、アスペン(ポプラの一種。北米の未利用樹種)など、柔らかで曲げ強度も低いため、そのままでは建材として利用しづらい低質の広葉樹を加工して、構造用の材料に使用できるよう転換させたものである。

具体的には、木材を薄い削片状にしてから乾燥させ、熱硬化性接着剤とともに積層し、高温のプレス処理を経て強固な板材にしている。

wikipedia/配向性ストランドボード

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天井材、壁材、床材。この3要素を対比させたい。それぞれの素材の関係は、「大人と子ども」の関係ではなく、「大人と大人」の関係にならないと、美は生まれない。この対比の美を、「二元対比」と言うそうです。

二元対比と間合いの美

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女性がいて男性が引き立つ。男性がいて女性が引き立つ。この二元論が日本の美学の原点です。

世阿弥が「せぬところが面白き」といっていますが、これは男女の二者を合体させない間合いが大切であるとし、そしてその間合いが、さらに面白くなければならないとしているのです。

出江 寛 - 伝統美を現代建築に「二元対比と間合いの美」

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尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」の紅梅を女性、白梅を男性として眺めてみてください。

紅梅が、いかにも色っぽい曲線をもって女性的に表現されているのに対し、白梅の枝は、ガッガッガッと稲妻のように角張っています。

出江 寛 - 伝統美を現代建築に「二元対比と間合いの美」

手前側は天井の高い1階のみで、奥は2階建てになっています。「天井の高い空間」と「天井の低い空間」を対比しています。

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「コンクリート打ち放し」という仕上げがありますが、「OSB合板貼り放し」ともいうべき、空間になりました。

1枚の大きさは「91cm x 182cm」。OSB合板は、安価な材料です。その安価な材料に命を吹き込むには、ていねいな木工事が必要でした。180枚を、できるだけ継ぎ目がわからないに貼りました。

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同じ大きさの窓なら、高い位置にあった方が採光できます。あえて窓枠は取り付けず、「くり抜いた正方形」とした方が、窓から見える青空の、額縁にふさわしいと考えました。このことも、窓を高い位置にした理由でした。

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三つ並んだこの窓を、外にまわって見てみます。正方形の窓からは、光が溢れています。今日は夕方に出向きました。いつの間にか日が短くなっています。

基礎工事をしていた頃は、とても暑かったのに。そんな夏は、ずいぶんと昔のように感じてしまいます。

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