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ときがわの杉・伐採見学会「彩の森とき川」

〈9833〉

埼玉県ときがわ町は、ときがわ杉の産地として有名です。「協同組合 彩の森とき川」さんが毎年11月に開催している、伐採見学会に参加させてもらいました。見学者の中には、この杉を使って住まいを建てる家族さんたちも。今日は、3本の杉を伐採するそうです。

ときがわの杉・伐採見学会「彩の森とき川」

左:手前の切り込みをした後、裏側にも切り込みを入れます。右:無事に予定して場所に倒せました(2017.11.26)

2017.12.04

私は今まで、大きな誤解をしていました。伐採見学会が行われる、この山の杉は人工林です。たくさんの杉を植林するために、豊かな森を破壊してしまったのだと、考えていました。ですが、それは間違いだったのです。

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戦中、天然木のほとんどは伐採され、山々は丸はだかになりました。燃料にするために、天然の樹木を伐採してしまったそうです。そして戦後、荒廃してしまった山には、復興に役立つよう、たくさん植えられたのが、杉だったそうです。

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杉がたくさん植えられたのは、生長が早く、まっすぐに育ちやすいので、木造住宅の柱や色々な材料として、使いやすいからです。その戦後に植林された杉が、伐採に適した時期になったそうです。

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さて1本目は、中心に見える真っ直ぐと立つ杉です。伐採する杉の選定は、太さだけではありません。1本1本の杉はよく見ると、わずかに曲がっているそうですが、

なるほど、この杉は、他の杉と比べると、本当に真っ直ぐです。この杉は、長さ6mの大黒柱として、生まれ変わるそうです。

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さて、伐採の準備が整いました。伐採はとても危険な作業です。男性の上に、ピンと張られているワイヤーが、わかりますか?このワイヤーで、あらかじめ決めた目的の位置に誘導するそうです。

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使う道具は、このチェーンソーのみ。

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まずは、倒す側に切り込みをいれます。一度で切り込むのではなく、少しずつ、少しずつ、切り込みを大きくしていきます。その都度、何回も何回も、倒す位置を確認しながら。

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この切り込みを、「腰掛け」というそうです。なるほど。

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倒す側の切り込みは、ここまでだそうです。中心にまでは、達していませんが、ここまで切り込んでも、倒れないものですね。

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見学者のみなさんは、安全な高台に避難してとのこと。さて、倒す側の反対側に、切り込みを入れ始めます!

緊張の一瞬を、動画で撮影しました。「再生ボタン」を押してください。

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無事に、予定していた場所に倒すことができました。

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切り株の年輪を見てみます。赤と白の2色、はっきりしているが、杉の特徴です。丸太の芯の部分を「赤身(あかみ)」、外側の部分を「白太(しらた)」というそうです。


左側から上側に掛けて、年輪の幅は広くなっている一方、右側から下側に掛けて、年輪の幅は狭くなっていますね。日の当たる側は成長が早くなり、年輪の幅は広くなるそうです。

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この杉の、森での「生」は終わりましたが、埼玉県のどこかのお住まいで、第2の「生」がスタートします。大黒柱として、お住まいを優しく支えてくれるはずです。

協同組合 彩の森とき川」さん、お世話になりました。ありがとうございました。きのこ汁も美味しかったです!


私の祖父も、戦前、山形で山の仕事をしていたそうです。ですが、その仕事、途中で絶たれてしまいました... 。

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