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シンプルな「ホワイト」にこだわった、バリアフリーキッチン(竣工時)

〈9832〉

デッキへとつながるLDKの、南側のアルコーブ(壁面の一部をくぼませてつくった空間)は、勾配天井は高く、明るく気持ちのいい空間です。そんな1等席に、バリアフリーキッチンを造りました。LDK全体のインテリアに合わせた、シンプルな「ホワイト」にこだわったキッチンです。

シンプルな「ホワイト」にこだわった、バリアフリーキッチン(竣工時)

静かな住宅地に建てた、平屋のバリアフリー住宅です。住まいてさんと間取りを決めていく中で、最後まで決まらなかったのが、キッチンの位置でした。流し台の幅は240cm、右脇の引き出しの幅は48cm(2017.08.12)

2017.12.05

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フランク・ロイド・ライト』の設計した、住宅の平面図を見てみると、

ワンルームになっているLDKの、キッチンスペースには、

「kitchen」とではなく、「workspace」と、書かれています。

『台所は居間と同じように、居心地よく見えて美しいところ』という、

キッチンに対する、ライトの設計思想が読み取れます。

「そこで調理する人も、輝いて美しく見えるように」とも、読み取れます。

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キッチンに向かったとき、正面に何が見えるかで、

そのキッチンの印象が決まります。

正面には、縦長のフィックス窓。道路の様子がわかります。

この窓から見える、空模様を確認しながら、

今日のスケジュールを、確認することもできそうですね。

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流し台の高さは、床から81cm。シンクの深さは19cmです。

流し台下部の開口高さは、62cm確保したので、

車いすで入ったときに、膝がぶつかりません。

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吊り戸棚は、クリナップの既製品「ハンドムーブ」です。

ハンドルを引き下げ、収納庫を目の前の高さに、手動で降ろします。

食器や調理器具、調味料などを、普段は隠しておけます。

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シンクとコンロの隙間は11cm、ぴったりと並べました。

住まいてさんは、以前のお住まいのキッチンでも、

シンクとコンロを、ぴったりと並べていたそうです。

調理の使い勝手が、変わらないようにしました。

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右端には、4段の引き出し(40cm幅)です。

引き出しの天板は木製にし、ステンレス面より高くして、

また、幅木を無くして、4段分の高さを確保しました。

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その引き出しの脇は、スパイスラック(15cm幅)です。

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薄型の排水トラップです。

トラップや排水管は、できるだけ奥に引っ込め、

車いすで、つま先があたりにくいようにしました。

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キッチンの背面にある食器棚は、何やら複雑な形です。

食器棚としての収納量を最低限に抑え、食器棚の周りを、

観葉植物を置くなど、楽しく飾りたいとのこと。楽しみです。

そんなキッチンスペースを、高窓から朝日が差し込むのです。

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台所は『ワークスペース』と呼ばれ、居間と同一にみなされている。

もちろん、このワークスペースは、

居間のアルコーブ(壁面の一部をくぼませてつくった空間)となるのだが、

空気の入れ替えをよくし、広々とした感じを出すため、この部分は高くする。

ライトの住宅―自然・人間・建築』フランク・ロイド・ライト

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台所は居間と同じように、居心地よく見えて美しいところでなくてはならない。

むしろ、居間以上になるべきだろう。

ライトの住宅―自然・人間・建築』フランク・ロイド・ライト


LDKには、このバリアフリーキッチンや食器棚以外にも、

たくさんの家具が置かれます。 その家具などの色は、

「ホワイト」と「ブラウン」の2色にまとめて、

一体感のある空間になるようにしました。

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