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昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

〈9798〉

「夜咄(よばなし)茶会」とは、幻想的な冬の夜のお茶会です。炉の季節である、冬至に近い頃から立春までの間に開かれます。本来は、夕暮れ時から始まりますが、今日の夜咄茶会は、来客に負担がかからないように、正午から開かれました。「茶会はこうあるべき」というのではなく、「来客」に負担がかからないことを、大切にしたお茶会です。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

いす座点前家具」や「仮設床の間」など、製作した家具に不都合がないか、今日はお茶会が始まる前お伺いしました(2018.01.08)

2018.01.08

本来のお茶会では、来客は長い時間、正座することになります。しかし、膝の痛みにより正座が負担になる、来客もいらっしゃいます。

そこで今回の夜咄茶会には、「いす座点前家具」を設営し、楽な姿勢で、お茶会を楽しんで頂けるようになりました。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

今日の「風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)」は、「富士山」でした。お茶の世界では、季節の移ろいを大切にします。2017年の富士山の初冠雪は、平年より23日遅い、10月23日でしたね。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

この背の低い灯台を、短檠(たんけい)というそうです。設営の準備を終えると、背の低い灯台に灯を灯します。菜種油に浸した、い草の芯がゆっくりと燃え始めました。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

お茶会が始まると、茶室は暗くなります。暗くなった茶室で、短檠の灯りが照らす、赤い炉縁(ろぶち)は美しく妖艶です。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

今日のお茶会は、6人の客を迎えます。茶会における最上位の客を、正客(しょうきゃく)といいます。正客には一番左端、亭主に近い所に座っていただきます。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

茶を点てる亭主からは、このような景色です。風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)には、小さく「祥雲」とありました。祥雲とは、「めでたいきざしの雲。吉兆の雲」なのだそうです。

なるほど、亭主は、来客の「吉」を願うのですね。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

「仮設床の間」に掛け軸が掛かっています。暗いので、大きな字の掛け軸がいいそうです。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

床の間の右端に置かれた座敷行灯(ざしきあんどん)は、「下座(しもざ)」から、掛け軸を照らします。

障子の外の待合には、お客さまがいらっしゃったようです。

昼に開かれる、夜咄茶会(2018年)

お客さまが席に付きました。

それでは、障子から明かりの遮り、茶室を暗しましょう。

さて、昼に開かれる、夜咄(よばなし)茶会が、始まります... 。

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