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『水回りをワンルームに』車いすを想定したマンションリフォーム(4)

〈9759〉

車いすユーザーが使いやすいトイレを考えると、便器の脇には、移乗やその介助のためのスペースが必要です。そのためには2帖程度の広さが必要ですが、限られた面積の中ではトイレを広げることは困難でした。その代わりに、トイレと洗面室をワンルームにして広さを確保しました。また、水回りの段差も解決していきました。

『水回りをワンルームに』車いすを想定したマンションリフォーム(4)

左側はトイレの引き戸、右側は洗面室の引き戸です。向こう側の廊下との段差はありません。廊下の幅は110cmと広くしたので、車いすで出入りしやすくなりました(2018.02.16)

2018.02.16

ですが、トイレと洗面室をワンルームにするこの形式は、

「落ち着かない」とあまり歓迎されません... 。

車いすを想定したマンションリフォーム

そこで考えたのが、ワンルームにしたトイレと洗面室とを「折り畳み扉」で間仕切ることにしました。トイレには廊下から直接入れますし、洗面室を通っても入れます。

車いすを想定したマンションリフォーム

廊下から洗面室に入る、引き戸の幅は90cmあります。洗面室とトイレの間は「折り畳み扉」は、全開すれば100cm以上あります。「2方向から出入りできるトイレ」になり、車いすでゆったりと動けます。


そして、難しかったのが「水回りの段差解消」でした。リフォームする前は、室内の各所の段差がありました。

車いすを想定したマンションリフォーム

玄関の上がりかまちの段差は3cmしかなく、出入りには好都合でしたが、その代わりに廊下から、トイレ・洗面室への段差がまず10cmあり、さらに洗面室から浴室までの段差が、さらに10cmありました。

車いすを想定したマンションリフォーム

これは、床下のコンクリート構造床が、平らに造られているからで、ユニットバスや洗面室の床下は、配管経路となるために、廊下と平らにすることは困難です。


そこで、「使用頻度に合わせて」の段差処理を考えました。洗面室床下の配管経路を壁際に寄せ、床下が配管経路とならない床を、廊下と平らにできました。

車いすを想定したマンションリフォーム

水回りの使用頻度は、入浴は1日1度のこと、洗面は1日に数回、トイレはもっとも多いでしょう。ですから、廊下とトイレ・洗面室の段差を優先的になくしました。

その結果、洗面室から浴室の段差が16cm残りましたが、持ち運びできるスロープを洗面室の床に置き、車いすでも対応できるようにしました。


また、浴室とトイレに、介助用リフトが必要になったときには、後付けすることができます。

車いすを想定したマンションリフォーム

今後、その時の状況に応じて対応できるように、リフトを設置する位置は検討してあります。

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