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大瀧雅寛 ↘

心の中に棲み続けてしまう一場面・1

〈9664〉

日々の仕事の中でも、仕事に限らず日々の暮らしの中でも、一見、大したことでもないような一場面が、ずっと心の中に棲み続けてしまうことって、みなさんありませんか? 私は住設機器のショールームに行った時に、ふと思い浮かぶ一場面があるのです。20年程前のことです。

心の中に棲み続けてしまう一場面・1

設計者の資質で最も大切なのは「建て主さんの気持ちを、設計者自身の中に取り組めるか」なのだそうです。国際福祉機器展に初めて展示した、バリアフリーキッチンの試作品です。ほんとうの住まい(2018.06.11)

2018.06.11

とある住まいてさんと一緒に、システムキッチンを選びに、ショールームに行ったときのことです。

システムキッチンの高さは86cmを中心に、いくつかの高さを選べますが、『奥行き』に関しては、どのキッチンメーカーも65cmと決まっていて、私自身も奥行きが選べないことに、何の疑問を持っていませんでした。

心の中に棲み続けてしまう一場面

すると、隣りにいた車いすユーザーの住まいてさんは、言いました。

『これでは奥行きが深すぎる。

システムキッチンの奥に転がったものに、手が届かない。

大瀧さん、そんなときに悔しさわかりますか?』


バリアフリー住宅を深く求めるのならば、住宅本体だけでなく、家具やキッチンまでも、デザインしなくてはならないのだと、心の中に、ひらめくものがありました。それから1年後、できあがったのが、バリアフリーな、このオーダーキッチンです。

心の中に棲み続けてしまう一場面

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