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大瀧雅寛 ↘

トイレの位置を寝室の近くするように

〈9661〉

何日か前に、私は「階段には思うことがたくさんある」と書いたばかりなのに、この記事では、「トイレこそが、住まいで一番大切」と書こうとしています。ですが、『住まいではトイレが一番』といったところで、まさに住まいづくりを考えている方に伝わるのか、いえ、伝わらないのでしょう。そんな私になり代わり、昭和40年台に建てられたこのお住まいの、寝室の中につくったトイレをご紹介します。

トイレの位置を寝室の近くするように

昭和40年台に建てられた住まいは、幾度かのリフォームを経て、現在に至っていますが、その『平成のリフォーム』をと、私に機会が与えられました。この寝室は以前は和室で、トイレは押入だった所です [2018.06.18]

2018.06.18

私は小学生の頃、父が仕事に行っている昼間に、父の製図台で、父の仕事を真似するように、家の間取り図を書いていました。遊びとはいえ、間取り図を書くためには、まずは家の間取りを、決めなければなりません。

トイレの位置を寝室の近くするように

想定する敷地はいつも、私が暮らしていた家と同じ「東側道路」です。玄関を道路に面した、東側に配置すると、次に決めるのは、「トイレをどこにつくるか」ということでした。

当時、私が住んでいた家は、古く小さな木造の平屋建ての家で、狭い玄関を下駄箱がさらに狭くし、続く半帖しかない廊下は、茶の間とトイレに面しているだけでした。

トイレの位置を寝室の近くするように

私は、茶の間の隅の製図台から離れ、トイレに行きました。なぜ、「トイレは玄関に近くにあるのだろう」と、不思議に思いました。夕食後、仕事から帰ってきた父に、その事を質問しました。

トイレの位置を寝室の近くするように

父の答えは、短くわかりやすいものでした。『帰宅の途中で、トイレに行きたくなった時、玄関引き戸を開け、真っ先にトイレに行けるからだ』と、また、来客や近所に人に、使ってもらいやすいからだとも、言いました。

トイレの位置を寝室の近くするように

なるほど、近所の人がトイレを借りに来た覚えはないのですが、友達なら何度もこのトイレを使い、私もまた友達の家のトイレを、使わせてもらったこともあり、私は父の答えに納得しました。ですが、

トイレの位置を寝室の近くするように

そもそも、私が「トイレの位置」に疑問を持ったのは、子どもの頃、深夜に寝室からトイレは行くのが、怖かったからでした。

「寝室 → 茶の間 → 玄関前 → トイレ」と、10mにも満たない距離が、家族が寝静まってしまった深夜には、怖く長く感じられたからでした。

トイレの位置を寝室の近くするように

そんな時に私は、「なぜ、トイレは寝室に近くないのだろう」と、トイレから布団に潜り込んだ後には、いつも恨めしく思ったからでした。

トイレの位置は、「帰宅途中でトイレに行きたくなった時」のためよりも、「来客や近所の人」のためでもなく、寝ている「私」こそ優先して欲しい。

今になり私は、住まいてさんに「トイレの位置を寝室に近くするように」とおすすめしているのは、この思いに端を発しているのかもしれません。

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