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車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

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このお住まいのふたつ目の浴室は、寝室と繋がる洗面室に造った、「車いすユーザー専用のユニットバス」です。車いす座面から、水平に移乗できる様に、「車いすの座面高さ、洗い場面の高さ、浴槽の高さを、できるだけ近づけた、お座敷浴室にしたい」とのことでした。浴室を在来工法で造るのなら、その様にできますが、リフォームでは在来工法で造ることができず、ユニットバスを選択せざるを得ませんでした。そこで、洗い場全面に「入浴台」を並べて、かさ上げすることになりました。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

ユニットバスは、たくさんのラインナップから選ぶことができますが、「洗い場面の高さが高いもの」はありません。そこで、洗い場に移乗台を敷き詰めることにしました(2018.07.30)

2018.07.30

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

たくさんのユニットバスから選んだのは、少し変わった、「ベンチ付きユニットバス」で、2帖(1616)サイズです。

このユニットバスは、洗い場の壁にベンチが付いていて、ベンチに座った姿勢で、鏡とシャワーを使うことを想定しています。壁には、背もたれのクッションが、浴槽まで続く様に付いています。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

ベンチ・浴槽と同じ高さに合わせ、入浴台を洗い場一面に並べます。3台に分けて製作し、できるだけ引き戸まで近づくようにしました。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

洗面室からは40cm程の高さになり、車いすの座面からは、5cm程低くなってしまいましたが、移乗には問題ないとのことでした。

ですが、歩いて入るには高すぎるので、踏み台があった方が良さそうです。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

浴室に限ったことではないですが、大切なことがあります。「オシリにキズが付かない様にする」ことです。

入浴する際は、入浴台は直接オシリに触れることになります。入浴台の表面は柔らかい厚めのマットでしたが、さらに柔らかくするために、マットを敷き詰めました。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

車いすユーザーは、壁の背もたれに寄りかかり、入浴台に脚を広げて、座った姿勢を保ちます。この様な入浴の仕方でも、シャワー水栓や鏡の位置も、都合のいい場所になっていたのは、幸いでした。住設機器メーカーの、想定していない入浴かもしれませんが。

車いすから移乗しやすい「お座敷浴室」を、ユニットバスで造る

ユニットバスの隣りには、トイレもあります。新築住宅であれば、ユニットバスではなく、在来工法の浴室で、自由な寸法で造ることができるのですが、浴室リフォーム工事では、在来工法で造ることが困難です。

ユニットバスに「ひと工夫加える」ことが、浴室の現実的な、バリアフリーリフォームです。

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