家族の思い出の記憶装置としての空間〈9564〉

造り付け本棚を取り付け、ピンク色のクロスに貼り替える。ただ、それだけのプチリフォームが、家族全員を楽しい気持ちにさせてくれる。住まいづくりの仕事をしていて、私が嬉しい瞬間は、こんな空間が作り出せた時です。さて、久しぶりに我が家をプチリフォームしたのですが、実はこの部屋を、何て呼べばいいのか悩んでいまして...。

家族の思い出の記憶装置としての空間

「#オオタキさんの家」は、我が家のご紹介です。我が家には、本棚がたくさんあるのですが、また一つ増えました(2018.11.01)


2階の廊下の端の、当初はトイレだった「1帖」の空間です。

3人家族の我が家には、トイレは一つだけで十分でした。

家族の思い出の記憶装置としての空間

夕日が差し込む、高窓は左側にありますが、「左」と「右」では、

空間の印象はずいぶんと違うものです。狭い空間ではなおさらです。

いつの事だったのか、おそらく私が中学生の頃だと思うのですが、

「左側の印象を、空間全体の印象として感じる」ことに気づきました。

家族の思い出の記憶装置としての空間

中学校の長い廊下、行きと帰りでなぜ印象が違うのかとの疑問からでした。

私の考えた答えは、窓が左側に見える時は、廊下全体が明るく感じ、

教室が左側に見える時は、廊下全体が暗く感じるということでした。

私に限らず人は常に、どんな時でも、左側に気を配っているそうです。

左胸の心臓を守るのだという、太古からのDNAによるものだそうです。

家族の思い出の記憶装置としての空間

この名づけられぬ空間の主人、娘も中学生となりました。ここには、

小学時代の大切な本だけでなく、日々向かい合った教材も並べるそうです。

その教材が、中学生となった自分を励ましてくれるのでは、というのです。

家族の思い出の記憶装置としての空間

本棚の背表紙を眺め、1冊を手に取る。なるほど、そんな読書なら、

広い空間よりも、体ひとつ分の、この1帖の空間の方がふさわしそうです。

家族の思い出の記憶装置としての空間

そんな娘の、ささやかな期待に答えるべく、私のしたことといえば、

A4サイズ専用の間隔にした、本棚の図面を書いた事でした。

本棚の色は、紙がそうである様に、ホワイトを選びました。

家族の思い出の記憶装置としての空間

ピンクの壁は、赤いロッキングチェアーに合わせました。

また、今年の夏の旅行で訪れた、野尻湖のホテルの客室が、

パープルで優しかった事も、暖色の壁を選んだ理由です。

すでに娘にも、小さくなり過ぎてしまった、ロッキングチェアー。

真横から眺めると、大きな振り子時計の様ですね。

家族の思い出の記憶装置としての空間

娘は大好きなのですが、私は,ちょっと複雑な気持ちがあるのです。

思い出すと、娘がこのロッキングチェアーで揺れている時は、

私に何か問題があって、娘に悲しい気持ちをさせている時だったからです。

このプチリフォームは、その「罪滅ぼし」の意味も含まれているのでした。

家族の思い出の記憶装置としての空間