父と息子と細い月と明けの明星と〈9497〉

私の2019年の初夢は「トイレ」でした。夢というよりは目覚める瞬間の映像でした。それは、バリアフリーリフォームしたばかりの、友人T氏宅のトイレでした。ですが友人宅には、そんなトイレはありません。大晦日の打ち合わせで、トイレを使いやすくしたいと依頼されたばかりなのです。この話はさておき、この友人T氏から学ぶことがあったので、自分のために、記事にしておくことにします。

父と息子と細い月と明けの明星と

初日の出です。私の家からすぐに行ける、江戸時代に砦だった高台に登りました(2019.01.02)


2018年末の最後に打ち合わせは、友人T氏からでした。

90代のお父様は、最近になり体力が低下してきたそうです。

お父様のために、トイレを使いやすくしたいとの要望でした。

父と息子と細い月と明けの明星と

私も永くお世話になっている、お父様です。

おそらく、本人がひとりでトイレに行くのではなく、

友人T氏がベッドから、トイレまで連れて行き、

トイレでのお手伝いをすることになりそうです。

父と息子と細い月と明けの明星と

ですが友人T氏宅は、和風住宅の趣があるお住まいです。

技術者や指導者でもあったお父様が、思いを込めて建てた家です。

どの様な仕事をしようかと考えていた所、初夢に現れたのでした。

初夢で見たトイレは工夫されていて、なかなかのアイディアでした。

父と息子と細い月と明けの明星と

さて話は、大晦日の打ち合わせに戻ります。

「父のために、寝室脇のトイレを使いやすくしたい」との要望でした。

ちょうど、そのお父様の寝室脇にある応接室で、

コーヒーを頂きながら、打ち合わせすることになりました。

すると数分おきに、隣りの寝室から「お呼び」がかかるのです。

父と息子と細い月と明けの明星と

お父様からの「お呼び」は、トイレだけのことではなく、

少し横を向きたい、枕の下にタオルを入れてほしいなど、

私から見れば、どうでもいい様なことにも思えました。

友人T氏は出向くと、大抵の用事は1分も経たずに終わり、

お父様の寝室から、応接室の私の向かいのソファーに腰掛け、

カップを手にするといなや、またすぐに「お呼び」がかかる、

そんなことが繰り返されるのです。

父と息子と細い月と明けの明星と

その度に友人T氏は寝室に出向き、お父様に優しく声を掛けます。

今度は何かな...

 

父と息子と細い月と明けの明星と

私は父に対して、友人T氏と同じ様に優しくできるだろうか... 。

果たして自分もそうできるものなのか、自問していました。

私は父に対して、父である以上に、建築の師匠とも思っている節があり、

振り返ると、父のわがままを、たくさん受け入れてきましたが、

私は父の世話をするにしても、こんな優しくはできないだろう。

聞こえてくるやりとりに、ひとり私は驚き、感動していました。

父と息子と細い月と明けの明星と

今日(1月2日)は、深夜2時から「お呼び」がかかったそうです。

友人T氏は、ほんとうは大変なのでしょうが、ちょうど未明からの、

月齢26の細い月と、明けの明星、金星の大接近を観望できたと、

楽しそうでした(私まで起こされました...)。

父と息子と細い月と明けの明星と

息子とはいえ、何回も何回も頼むことを、

きっとお父様は、心苦しく思っていることでしょう。

ここ数日、お父様からの「お呼び」は少なくなったそうです。

私もそう遠くない時期に、同じ様な場面と出会うことになるので、

友人T氏に、詳しく話を聞きました。

父と息子と細い月と明けの明星と

応接室にいて、すぐに行ける時は、

「俺はすぐに行けるよ」と伝えて、安心してもらう。

そして、何回も呼ばれてしまう時は、

「できれば、1回で済むと助かるな」と優しくお願いする。

買い物に出かける時など、お父様をひとりにしてしまう時は、

「留守にしてしまうから、我慢してね」とお願いする。

父と息子と細い月と明けの明星と

そして、「留守にしてしまうから、我慢してね」と言うと、

お父様は決まって、こう言うそうです。

わかった。気をつけて行ってこいよ

 

またお父様は、こんなことも言うそうです。

そんときは、そんとき

心配してもしなくても、結果は同じ

 

私は、友人T氏のお父様を、良寛さんに重ね合わせたのでした。