アニティデザイン:バリアフリー住宅(2019年初版)
〈9495〉
https://anity.ootaki.info/9495/
2019年のお正月休みも終わりますが、この休み中の成果をご紹介します。講演会の時にお渡しする、レジメを作り直しました。よくもらうレジメは、「A4数枚をホチキス留め」程度のものが多いのですが、対してこのレジメは、A4クリアファイル(40シート)に合わせ、80ページもあるので、レジメというよりは作品集の体裁です。
昨年(2018年)は、福祉の専門家の方々に、プレゼンテーションする機会をもらいましたが、今年はすでに3回、プレゼンテーションする機会をいただいているのです。「Scrapbox」で作りました(2019.01.05)
2019.01.05
何でしょうか。私は昔から、この様な書籍を作るのが大好きなんです。
最近は、レジメを作るのと同時に、WEBページも作れる様になりました。
レジメの各ページにQRコードを載せ、WEBページにリンクしています。
こんな感じに制作しています。
・画像を一定のサイズに統一する(800ピクセル x 560ピクセル)
・Scrapboxにそれぞれのページを作る(印刷専用のCSSにする)
・テキストと画像を組み合わせ、A4で3・4ページにまとめる
・Scrapboxから、それぞれのページのPDFファイルを書き出す
・画像をFTPで、WEBサイトにアップロードする
・Scrapboxから、テキストをMarkdown形式で取り出す
・MovableTypeから、それぞれのWEBページを出力する
毎回、登壇している時に思うことがあります。私は住まいを、
デザイン、住宅の性能、どの様な材料や工法でつくっているか、
などで、語りたくありません。
その住宅で暮らしていく中、どんな体験をすることができるか、
その住宅に誘起される、出来事を設計しているであって、
決して、住宅そのものを設計している訳ではないからです。
そして、終の住処(すみか)として耐えうる、
ほんとうの、バリアフリー住宅をつくりたいのです。
それぞれのページを、下記にまとめました。よろしければ、ご覧ください。ご感想を頂けたら嬉しいです。
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家でしかできないことって何だろう1987年のことです。ある建築家の講演を聴講するために、 私は遠路、新潟県民会館に向かいました。大ホールの壇上から、 『みなさん、家でしかできないことって何だと思います?』 建築家はこんな質問を、客席の私たちに投げ掛けました。 4ヶ月前に設計事務所を開設したばかりの、21才の私は考えました。 寝るためならホテルがあるし、食べるためならレストランがある。 物をしまうのなら倉庫があるし、楽しいことなら外の方が、 たくさんある。さて、家でしかできないことってあるのかな... 。
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障害は人にあるのではなく、環境にあり変えられるもの車いすユーザーのOさんのお住まいは、私が初めて造らせて頂いた、バリアフリー住宅です。私ひとりが設計したのではなく、Oさんとともに車いすで生活する上での問題点を、ひとつひとつ解決していきました。
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「家への出入り」が、バリアフリーの第一歩住まいのバリアフリーリフォームが必要になったとき、最初に考えることは「家への出入り」です。戸建て住宅の場合、道路面と室内の床面の高さは、70cm以上あることが一般的です。この段差を解決するにあたり、大切な選択があります。『玄関から出入りする』のか、『掃き出し窓など、玄関以外から出入りする』のかの選択です。
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手入れの行き届いた美しい庭と、弧を描くレンガのスロープ『車いすに乗ることになった主人のために、スロープを作りたい』と、奥様からのご依頼でした。手入れの行き届いた美しい庭に驚きました。この庭を見渡すと、丹精こめて手入れをしている、奥様の気持ちが伝わってきて、この庭を楽しめるスロープがふさわしいと、直感しました。
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1.5mの段差リフトから、寝室につながるデッキこのお住まいは道路からの高低差が大きく、道路面から1階床面までは約1.5m。車いすで出入りしたいとのご要望でしたが、玄関からの出入りは難しく、庭の一部に段差リフトを設置し、リフトから寝室までのデッキを通り、寝室の掃き出し窓から出入りすることになりました。
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ステージの様なリフトで、玄関室をプレイルームにナチュラルでシンプル、広いLDKが気持ちのいいお住まいです。車いすユーザーの子どもさんが、玄関をひとりで行き来しやすくするためのリフォームをしました。玄関を増築し、段差リフトを設置しました。
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「健側」に合わせた、車いすで使いやすい水回りスペース半身まひが生じた方の、動かしにくい側を「患側」、動かしやすい側を「健側」といいます。患側が左右のどちらなのかによって、バリアフリーリフォームのプランは大きく変わります。車いすユーザーの住まいてさんは、右半身を自由に動かすことが苦手な方でしたので、水回り全般で、左側が使いやすくなる工夫を考えました。
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機能だけではなく遊び心を持たせた、斜めなトイレ同業の他社さんから、たくさんの間取り図を見せてもらう機会がありました。どの住まいも外観やリビングなど、それぞれ個性的なのですが、一転トイレだけは、どれも個性がなく同じだったことが不思議でした。トイレは、デザインするに値しない空間だと、思われている様でした。
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『トイレを、居室としてしつらえなさい』私が自信を持っていた間取り図を、ある建築家に見てもらったことがありました。しばらくすると建築家から一言、『トイレを、居室としてしつらえなさい』。玄関や居間などに比べ、トイレはデザインの必要がない空間なのだと考えていたことを、読み取られてしまったのです。
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跳上げ式の移乗台で、家族で共用できるお座敷トイレ1帖に満たないトイレは洗面室の中にあり、スペースを広げることはできません。住まいてさんからの要望は、車いすから便器に乗り移り両足を伸ばせるような、「移乗台」が必要とのことでした。トイレを家族みんなで共用できるよう、「跳ね上げ式の便器移乗台」を考えました。
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洗面室の中にあるトイレが担う、隠れた大切な役割このお住まいは3層(地階・1階・2階)で、それぞれの階にトイレがあり、このトイレは1階の洗面室の中にあるトイレです。左右の引き戸は、リビングや寝室につながる、落ち着かないトイレなのですが、このトイレには、そのマイナス点を補う、大きなプラス点があるのです。
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マンションの洗面室、最低限の車いす対応リフォーム購入したばかりのマンションを、車いすユーザーが暮らし始められる様に、最低限のリフォームをしました。充分な広さではない、この洗面室で解決したかったことは、洗面化粧台と洗濯機、廊下からの出入り口でした。新築なのでできる限り、工事を少なくする方法を考えました。
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座・ドレッサーと鏡と、ターコイズブルーの組み合わせ立っても座っても、使いやすい高さに調節できる、「座・ドレッサー」は、洗面ボウルが大きく張り出ていて、肘をつくことができるので、車いすユーザーにも使いやすい洗面台です。あえて高さを固定して設置することにより、大きな造り付け鏡とカウンターと、組み合わせました。
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シャワーチェアーに腰掛けた姿勢から、安全に浴槽に入る「バリアフリーにする」ということは、必ずしも「特別なものにする」のではなく、あえて「シンプルにする」という方法もあります。「いったん浴槽のヘリに、腰掛けてから浴槽に入りたい」とのご要望でした。
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浴槽とシャワーの2通りの入浴、2m角のユニットバス「浴室を家族みんなで共用する」などと、あえて強調する意味はない様にも思えますが、家族の誰かが車いすユーザーだったとき、その一人だけが別の浴室を使わざる得ないとしたら、どんな気持ちになるのでしょうか... 。私が「バリアフリー住宅」で大切にしたいことは、この『家族みんなで共用する』ということなのです。
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シャワー浴できる浴室に、またぎやすい木製浴槽を置くことに当初、この浴室の増築したとき、「浴槽をまたぐには腰に負担がかかってしまうので、浴槽の代わりにシャワー椅子だけを付けて欲しい」と、依頼されたのでした。ですが私は考えました。住まいてさんは、将来、湯船につかりたくなるかもしれない。小さくても浴槽が置けるスペースを確保しておこうと。数年後、私の予想は、現実のものとなりました。
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高齢者にとって理想的な、専用トイレのある寝室高齢者にとって理想的な寝室をつくりました。以前は8帖の和室と縁側だった場所を、11帖の広さの寝室にしました。当面は奥様専用として使いますが、将来、ご主人のベッドを置くこともできます。また、寝室はリビングの隣りにあり、必要になった時は、つなげることもできます
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ベッドを置く場所を、選択できる自由があること住まいてさんが進行性の難病により、近い将来に車いすを使うこと、ベッドに横になっている時間が多くなることが、想定されました。東西に広いマンションなのですが、そのベッドをどこに置くのか悩みました。「東側のリビング」がいいのか、それとも「西側の寝室」がいいのか。
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調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン「車いすで使いやすいキッチンにしたい」とのご依頼に、キッチンの全体計画から考えました。「コの字型」のバリアフリーキッチンは、調理手順に合わせ一筆書きの様に連続する、調理動線になっています。左から、冷蔵庫 → シンク → IHコンロ、最後はテーブルに到着します。
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心地よさは、車いすの使用を想定しておくことから『この中にはパンが一切れ入っています。何かのお役に立つでしょう』ドイツ軍につかまったルーマニア人が、貨車から脱走する際、あるユダヤ教指導者から、ハンカチに包まれた「一切れのパン」をわたされました... 。ここに登場する「一切れのパン」。「バリアフリー住宅」に例えるのなら、『車いすの使用を想定しておくこと』なのだと思うのです。
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『ゆっくりでいいよ』の一言を添えること以前に建てたお住まいを訪問しました。住まいてのMさんは車いすユーザーで、メンテナンスは直ぐに終わると、帰りがけMさんから、中学生の子どもさんの作文が、市内の中学生人権作文市長賞を、もらったことを聞き、私まで嬉しくなりました。見せて頂いた作文に私は感動しました。その内容は、車いすユーザーとなった、お父さんについてでした。
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私も障害を持っていると気づくことユニバーサルデザインの提唱者、ロナルド・メイス最後のスピーチの中の、「ユニバーサルデザイン」について定義する場面を読み、私は自分自身を普通、健常者であると考えていることに、疑問を持ちました。
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私は「兼築家」をめざしています!我が家では私の仕事のことが話題になりますが、『それって、工務店の仕事じゃないでしょ!』と、娘から突っ込まれた、依頼がありました。それは『ピアノペダルを頭の動きで操作したい』というものでした。
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アニティデザイン バリアフリー工房暖かくて居心地のよい、バリアフリー住宅を造っています。新築でもリフォームでも、ご相談から設計、施工まで、1級建築士がワンストップで、対応しております。ぜひ一度、お試しください。
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