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風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

〈9471〉

なぜなのでしょうか。私の中の一番古い景色は、風呂場で母に頭を洗ってもらっている場面です。頭を洗ってもらっている私が、泣いている母を下から見上げている瞬間です。時を経て消えたはずの、幼き目だけが覚えていた景色、なぜ覚えているのかを考えてみました。

風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

この記憶に弟の気配がないので、弟が生まれる前の、私が0才か1才のことなのでしょう。思い出の中の幼い景色は、 全てが丸く見えていた様に思います( 2019.04.28)

2019.05.04

風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

仰向けの私は母の膝の上で、後頭部だけを洗面器につけ、

母に頭を洗ってもらっているのです。

泣いている母の顔の向こう側には、

風呂場の古い板張りの天井が、丸く広がっています。

風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

私は、母は悲しみ泣いていたと感じているのは、

入浴する前、夫婦喧嘩をしていた様な記憶もあるからです。

その喧嘩の原因は、私のことなのだと、私は知っているのです。

風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

母は父の不条理を、私に、ぶつけることはありませんでした。

色々な不条理があったとしても、それを誰かにぶつけるのではなく、

自分の中に、静かに沈めている様でした。

頭を洗ってもらっている私は、そう考えているのです。

風呂場での一場面が、私の一番古い記憶

この記憶は、本当に風呂場での記憶なのか、それとも、

その後に修正された記憶なのか、今ではよくわかりません。

ですが、半世紀以上たった現在の自分に、

何かしらの影響を、与えている様に思えるのです。

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