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大瀧雅寛 ↘

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

〈9434〉

『車いすで使いやすいキッチンにしたい』とのご依頼に、キッチンの全体計画から考えました。調理手順に合わせ、一筆書きの様に連続する調理動線、「コの字型」のバリアフリーキッチンです。最後まで悩んだことは、キッチンの高さについてでした。車いすに合わせるのか、立っての調理に合わせるのか... 。「逆転の発想」で解決しました。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

コの字型のバリアフリーキッチンです。左から「冷蔵庫」「シンク」「IHコンロ」、最後にピアノカーブのテーブルに到着します( 2019.07.01)

2019.07.28

左側の冷蔵庫から取り出した食材は、冷蔵庫右のカウンターへ並べ、シンクで洗い、下ごしらえをして、IHコンロで調理します。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

食器棚と冷蔵庫の前では、車いすから安全に立ち上がりたいので、引き違い扉の食器棚を壁に固定し、手すりを取り付けました。冷蔵庫の両脇にも壁をつくり、同様に手すりを取り付けました。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

キッチンの下部は、車いすで奥まで入れるオープンスペースです。キッチンの高さを決めるのは難しく、車いすでの調理に合わせるのか、立っての調理に合わせるのか... 。「逆転の発想」で解決しました。

車いすでの調理を優先させることにし、立っての調理は低すぎるので、その時は、キャスター付き椅子に座って、調理することとなりました。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

車いすで入ってもひざに当たらない様に、浅型ステンレスシンクです。シンクが浅いために水はねするので、水に強いウッドタイルの床です。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

キッチンの引き出しは、IHコンロの右手側に作りました。引き出し上段・中段は浅い高さにし、おたまなどの調理道具を収納し、

最下段には、ボトルを入れるために深い高さにしました。引き出しの取手は、指にかかりやすい三角形の断面にしました。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

コンロの下のワゴンには、フライパン、お鍋、ボールなどを置きます。使う調理器具を、使う場所の近くに収納できます。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

電子レンジとトースターの前には、スライド式の棚を取り付け、トーストやレンジで温めたものを、そのまま載せることができます。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

一筆書きの様な調理動線の末端は、どこからでも向かうことができる、 奥行きが浅く間口の広い形状の、「ピアノカーブ」のテーブルです。

テーブルの脚は奥にたててあり、車いすでの寄り付きに配慮しました。いつでもお茶を飲める様に、ポットの定位置はこのテーブルです。

調理手順に合わせた、コの字型バリアフリーキッチン

ゆっくりと時間をかけて、自分が食べたいものを自分で調理できる、バリアフリーキッチンとなりました。

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