トイレこそ、個別対応のバリアフリーを大切したい場所
〈9393〉
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住まいてさんと打ち合わせしていると、車いすユーザーが使いやすいバリアフリーなトイレと言っても、ひとりひとり求めるトイレが違うことに驚きます。なので、このトイレがどの車いすユーザーのとってもベストではないですが、そのひとりひとりに合わせるということこそ、バリアフリーの大切なことなのではないでしょうか。
このお住まいの多目的な洗面室は、5.7帖です。洗面台の脇の引き戸はLDKにつながります。収納で隠れる様にトイレをつくりました( 2019.09.14)
2019.09.15
水回りスペースは広いに越したことはないのですが、「大は小を兼ねる」と、水回りスペースだけを大きくしすぎると、住まい全体の中でのバランスが悪くなり、住まいにくくなってしまいます。
このお住まいの様に、水回りをワンルームにして多目的な洗面室にすることが、限られたスペース活かす上で有効です。
ワンルームにした時に問題となるのは、トイレのプライパシーを保てなくなることです。
この5.7帖の洗面室では、トイレのプライパシーを保つために、収納家具を間仕切りとし便器を隠す様にしました。LDKに繋がる引き戸を全開した時も、便器が見えません。
便器の正面となる窓側のスペースには、乾燥機と洗濯機を並べます。 便器の前には、便器への移乗スペース(1.5mの回転円)を確保しました。このスペースを乾燥機・洗濯機を使うために必要なスペースと兼用することにより、コンパクトな洗面室にできました。
車いすから便器へは、左右3本の手すりで移乗します。「便器に腰掛けている姿勢で手を洗える様に、小さな手洗い器が欲しい」とのことでした。
ですが、便器側面の壁は、取り付けたいものがたくさんありましたが、まずはこの手洗い器の場所を第1優先にしました。手洗い器の右側には、小物を置ける棚を取り付けました。
この便器は一見、普通の洋式便器のようですが、便座の高さは46cm、通常のものより5cmほど高くなっている、「車いす用便器」です。
便座の高さと、車いすの座面の高さを合わせることにより、腕力での移乗をしやすくなります。
便器から車いすに戻ってしまうと、通常のタンク脇の洗浄レバーには手が届かないので、洗浄することができません。そこで、手元のリモコンからの操作で洗浄できる様にしました。 コンセントの脇にある受信機が、リモコンから信号を受信し洗浄してくれます。
手に持っているリモコンが、その便器洗浄リモコンです。
すでに壁に付いているスイッチは、押すとLDKにあるベルがなり、家族さんが助けに来てくれます。万が一、車いすから便器に移乗する時に、失敗して床に落ちてしまっても安心です。
便器の背面の壁だけ、水色にしました。これだけのことでも部屋全体の印象が変わります。これは住まいてさんの提案です。
水回りはその中だけのことではなく、LDKから行き来しやすいこと、寝室からも行き来しやすいこと、動線の配慮も大切です。
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