ユニットパスの選定は、必要な洗い場の大きさを考慮する
〈9392〉
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通常、ユニットパスの大きさは、「1616サイズ」など、ユニットバスの壁内寸法で選定します。この「1616サイズ」、壁内寸法「160cm x 160cm」のユニットパスが、一番選定されている大きさです。対して、このお住まいのユニットパス壁内寸法は「205cm x 140cm」と、既成サイズにはない、寸法オーダーのユニットパスで製作することになりました。
「205cm x 140cm」、既成サイズにはない寸法オーダーのユニットパス(浴室)です。洗面室の床から48cm高い入浴台(移乗台)に合わせて設置しました( 2019.09.15)
2019.09.16
住設機器のショールームに出向いてみると、一番多く展示されているのが、「1616サイズ」、壁内寸法「160cm x 160cm」のユニットパスです。
「1616サイズ」が一番選定されている理由は、木造住宅のグリッド(柱芯寸法)、「182cm x 182cm」に無駄なく設置からです。
「気持ちよく入浴できる」という、住まいてさん側からの要望というよりは、いわば「造りやすさ」という、造りて側からの論理が優先されている様に思えるのです。
壁内寸法「160cm x 160cm」の場合、浴槽幅は「75cm〜80cm」、洗い場幅は「85cm〜80cm」になってしまいます。
つまり「1616サイズ」は、「壁内寸:正方形」で「洗い場形状:長方形」になり、長方形の洗い場形状は、車いすユーザーには、使いにくいものです。
対してこのお住まいのユニットバスでは、それとは逆に、「壁内寸:長方形」にすることにより、車いすユーザー使いやすい「洗い場形状:正方形」にしました。
浴槽は、長さは140cm、幅は75cmの通常のものでいいのですが、洗い場の形状は「120cm回転円の確保、余裕をみて130cm以上の正方形にしたい」とのことでした。
浴槽の幅は75cmに、洗い場の幅 130cmを加えた、計 205cmをユニットバスの長辺に、短辺は、浴槽長さ 140cmに合わせ、壁内寸法「205cm x 140cm」にしました。
浴槽と洗い場形状を先に決め、その合計をユニットバスの壁内寸法にしたのです。
浴室引き戸は開口幅が広い、3枚引き戸にしました。
その手前には、入浴台を造りました。高さは車いす座面に合わせた 48cm、奥行きは 120cm、 左右の幅は 150cmです。左側の薄い壁に寄りかかって、脱衣したり体を拭きます。
車いすからこの入浴台に移乗したあと、2組のキャスター付きの板を、脚と腰の下に敷いて、洗い場へと漕ぐ様に移動します。
シャワー水栓は通常の洗い場正面だけでなく、浴槽の縁の真上にも設置しました。正面の壁により掛かる様に、床面に座ってシャワーを浴びたいので、シャワー水栓はできるでけ低くなる様にしました。
手前の洗い場も、奥に見える入浴台も、120cmの回転円の確保したので、その円が並びます。
壁内寸法「205cm x 140cm」細長いユニットバスなので、浴槽からは見慣れない景色になりました。
この様な入浴台を作る時に考慮しないといけないことがあります。
通常、洗面室の天井の高さは、230cmにしていますが、入浴台の高さは48cmなので、入浴台に立つと頭が天井にぶつかってしまいます。
なので、この洗面室では、入浴台の上部の天井を折り上げて、入浴台の天井高さを200cm確保しました。
また、浴室や洗面室は、寝室に行き来しやすい位置に動線計画しました。
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