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大瀧雅寛 ↘

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

〈9390〉

「ラストワンマイル」という言葉を、最近ではあまり聞かなくなりました。直訳すると「最後の 1マイル」なのですが、その物理的な長さではなく、インターネット接続のための「最後の区間」いう意味で使われます。先日、とある住まいてさんのお住まいに遊びに行った時、「バリアフリー住宅でのラストワンマイルとは」の話題となり、改めて思い返しました。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

リモコンにに細いエアーチューブを結びつけ、指先の細かな動作が得意でなくても、床に落とした時に拾いやすくなりました( 2019.09.28)

2019.09.29

このお住まいは竣工日に合わせて、住まい手さんと担当していた作業療法士の先生が出向いてくれました。 住まいてさんの引っ越しも済み、私も問題なくマンションの、バリアフリーリフォームを終えたつもりでした。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

ですが作業療法士が作業を始めると、このお住まいは、まだ未完成だったことに気づかされました。

その作業は、エアコン・照明器具などのリモコンに、細いエアーチューブを結びつける作業でした。この様にひねると、エアーチューブが立体的になるとのことでした。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

細かな動作がしにくい指先では、リモコンの様な薄い形状は掴みにくいそうです。このエアーチューブが取っ手となり、持ちやすくなるそうです。

また、リモコンを床に落としてしまった時、車いすに座った姿勢からでも拾いやすくなるとのことでした。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

なるほどそれぞれのリモコンは、ボタン操作がしやすい工夫が施されていますが、床に落ちたリモコンを拾いやすくするという視点はない様でした。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

その視点で眺めた時、私の仕事も行き届いていないことに気づき、作業療法士の手慣れた作業を見ながら、私は気持ちの良い敗北感を感じたのでした。

それはまさに「ラストワンマイル」ならぬ、「最後の 1センチ」、 私の仕事はその 1センチ分、到達していないのでした。

バリアフリー住宅の「ラストワンマイル」は「最後の 1センチ」

話は変わりますが、流通業界では「ラストワンマイルを制するものが、流通を制する」そうです。

ほんとうのバリアフリー住宅を造り上げるためには、この「最後の 1センチ」を大切にするということを学んだのでした。

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