マンション玄関ドアの敷居段差(2)3cmの段差
〈9358〉
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この住まいてさんは、全てを自分でするのではなく、介助サービスを受けることを想定し、このマンションを選んだとのことでした。バリアフリーの全ての条件が満たされていなくても、バリアが多少残ったとしても、暮らし方で対応できると決断したそうです。バリアフリーのゴールをどこにおくのかによって、マンション選びは変わってくるのです。
車いすユーザーの賃貸マンション改修です。玄関(マンション)に置くスロープです。賃貸マンションの場合、現状復帰のしやすさも考慮しておく必要があります( 2020.01.14)
2020.01.15
この住まいてさんは、長く住んでいた社宅から、転居することになりました。済み慣れた地域から、遠く離れた所への移転はできないとのことで、限られた地域でのマンション選びとなりました。というのも、介護事業所との関係を新たに構築していくことは、とても難しいそうです。
古いマンションほど、玄関ドア周りの段差が高くなっています。ふた昔前のマンションは 10cmほど、このお住まいのような、ひと昔前のマンションでは、3cmから 5cmほどの段差があります。
玄関周りには、共用廊下からドア敷居の段差が 3cm、敷居の戸当たりの段差が 1.5cm、上がり框の段差が 9.5cm、この 3箇所の段差の合計で 14cmありました。その段差のために車いすでの行き来がしにくくなってしまいます。
そこで、共用廊下からドア敷居の段差を解消するために、樹脂製のミニスロープ(勾配 1/4)を設置し、玄関土間全体には、木製のシート貼りスロープ(勾配 1/10)を設置しました。上がり框をそのままにしたので、スロープの長さは 90cmしか取れず、手動の車いすでは昇りにくいはずです。
スロープを内外に設置しても、戸当たりの 1.5cmの段差は、玄関ドアの気密を保つための段差なので、この段差をなくすことはできません。
住まいてさんに実際に使ってもらったところ、住まいてさんは手の力が弱いので、外の廊下から室内の廊下まで、やはり昇ることができませんでした。なので、室内から外への行き来は、電動車いすを利用するか、ヘルパーさんに介助してもらうかのいずれかしかありません。
住まいてさんは外出する時には、ヘルパーさんに介助してもらうそうです。電動車いすを使えば、簡単に行き来できるようになりますが、電動車いすは車に収納することができないので、車での外出ができなくなってしまうからです。
自分でしたいことと、ヘルパーさんに頼むことを、ひとつひとつ選択していくこと。「ベストではなく、ベターな選択をする」ことが、賢いバリアフリーリフォームのコツなのですね。
和室の畳にウッドカーペットを敷き込み、寝室にしました。
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大瀧雅寛 (おおたきまさひろ)
有限会社 大滝建築事務所 代表
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