icon

大滝建築事務所 ↘

ハッシュタグ ↘

大瀧雅寛 ↘

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

〈9342〉

敷地は日当たりのいい東南の角地、南側の庭のスペースに、カーポートとウッドデッキ、段差リフトと階段をつくりました。LDKの掃き出し窓につながり、屋根の付いたこのデッキは、車いすでの出入り口、リハビリスペース、物干しスペースと、多目的に利用できるようにしました。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

「兼ねること」。ここウッドデッキでは、車いすでの出入り口(段差リフト)、リハビリスペース(階段)、物干しスペースを兼ねることにしました( 2020.04.30)

2020.05.04

庭の反対側にある、既存の玄関ポーチには数段の段差があり、車いすでの出入りが困難でした。そこで、デッキに面する掃き出し窓から出入りすることになりました。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

カーポート面は道路面の高さと同じ、デッキ面は室内床面の高さと同じになっています。カーポート面からデッキ面までの高さは、91cmになりました。この高さを、段差リフトと階段とで昇降します。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキを正面にし、左側が段差リフト、右側を緩やかな階段にしました。階段は住まいてさんが昇降しやすいによう、階段の踏面を 30cm、蹴上を13cmにしました。91cmの高さを 7段で上がります。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

住まいてさんからこの階段を「リハビリにも利用したい」とのご要望がありました。階段の両側に手すりを取り付けました。手すりの間隔は、広すぎてしまうと腕に力が入りにくくなるので、 65cmと狭くしました。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキに到着すると、すぐに室内に入れます。電動シャッター付きの掃き出し窓が、玄関代わりになります。室内からだけでなくデッキからでも、シャッターの開け閉めができます。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

段差リフトは、ただ昇降するだけでは、この住まいてさんには不十分でした。指先に力に頼らない工夫が必要となりました。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

通常フラップは、リフトに乗り込んだあと、手動で上げ下げの操作を必要としますが、その操作を自動に行うようにしました。リフトが上がり始まると、フラップは自動的に上を向き、車いすの転落防止の立ち上がりとなります。昇降スイッチは、ふたつあります。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

リフトの手すりに取り付けたハンドルを、一度だけ倒すと、リフトは昇降し始めます。ハンドルのストロークを長くし、手のひら全体で押すことで、指先の力を必要なくなりました。押し続けるスイッチではなく、

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキに到着すると自動的に停止します。リフト下部は、布製ジャバラで塞がれていて、モノが入りにくくしています。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

リフトがデッキ面にある時はいいのですが、リフトは普段、コンクリート面に下げておくので、デッキの高さに不安を感じるかもしれません。階段を上りきった位置から、デッキ 2枚分、35cm引っ込めておきましたが、アルミの柱あたりに、扉などが必要になるかもしれません。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキからリフトを呼ぶときは、デッキ柱に取り付けたスイッチを操作します。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキの向こう側が、駐車スペースになっています。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

段差リフトには油圧ユニットが必要ですが、万が一に大雨の際に、油圧ユニットが水没しないように、リフト本体から離し、デッキの下に収納しました。メンテナンスしやすいように、デッキを一部、取り外せるようにしました。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

掃き出し窓は、電動シャッター付きのノンレールサッシです。室内のコルク床とデッキ面をフラットに納めることができます。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

日当たりにいい位置にある窓です。半透明の屋根材は、熱線吸収ポリカーボネートにしました。日射による室内温度の上昇を軽減してくれます。

「兼ねること」でコンパクトに(4)多目的なウッドデッキ

デッキから段差リフト、階段まで、アルミ屋根を大きくつくり、できるだけ雨に濡れないようにしました。青空の映す屋根のもと、デッキの面々は、住まいてさんの引越しを、待ちわびてるかのようです。

https://anity.ootaki.info/9342/