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残照館の屋外デッキに「心地よさパターン」を当てはめる

〈9326〉

心地よい場所だなと感じた時、「心地よい場所には必ずその理由がある」はずと、その理由 = 「心地よさパターン」を探すことが、半ば私のクセになっています。この美術館での観賞の後、隣接するカフェの屋外デッキで、私はその心地よさの理由を探し始めました。

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長野県上田市の「KAITA EPITAPH 残照館」、隣接するカフェの心地よさは、私の心のコリをほぐしてくれました。 建もの探訪 ( 2020.07.22)

2020.07.17

残照館の屋外デッキに「心地よさパターン」を当てはめる

閉館していた信濃デッサン館は、「KAITA EPITAPH 残照館」と名を変え、2020年6月6日に開館しました。

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「KAITA」は村山槐多、「EPITAPH(エピタフ)」は墓碑銘を表すそうです。若くして亡くなった画家の作品を中心に展示している、ユニークな美術館です。

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画家の制作当時の年齢と、自分の年齢とを比べながらの観賞でした。その余韻をしばらく感じていたくて、隣接するカフェに立ち寄ることにしました。

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このカフェには室内の席と屋外デッキの席があり、「どちらでもお好きな方をどうぞ」とのこと。私は迷うことなく、見るからに心地よさそうな、屋外デッキに向かいました。

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席に座りランチをオーダーすると、私はなぜこの席を選んだのか自問しました。最初に思い浮かんだのは、次の心地よさパターンでした。

「屋根があること。日差しを遮り、急な雨の心配をしなくていいこと」→ 当たり前のことですね。最近は、日当たりにいるだけでも疲れを感じるようになりまして。

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「右側は閉じられていて、左側が開放されていること」→ 私は左側に広がり(運動)を感じる時、心地よいようです。

「椅子に腰掛けた時、背後に空間がないこと」→ 背後から狙われるような仕事はしていないつもりですが、後ろを歩かれると落ち着かないです。

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「座り心地がよく寄り掛かれる椅子」→ 長く座るには、座る姿勢を自由に変えたいです。向かいあうのではなく、横並びの配置も嬉しいです。

「テーブルは大きいこと」→ テーブルに置いたカップを、必要な時は手前に置くことができ、カップを落とす心配のない場所にも置きたいです。

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「遠くまで見通せること」→ 遠くを眺めながら思想するのが好きです。また、遠くまで見通せることで、無警戒でいられ心地よいようです。

「視界に軒裏が入り、景色の額縁になること」→ 私が選んだ席は、高木が左右の幅を決め、軒裏が上端に、日影のラインが下端となり、まるで額縁の中の絵のようでした。

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私にとって、いい設計、いい建物とは、デザインがいいとか、いい材料を使っているというのではなく、このような「心地よさパターン」が、たくさん当てはまる建物です。この美術館のように。

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私はいい建物を造りたいです。そのためには、まず自分が心地よい体験をすること、そこから「心地よさパターン」を見つけ出すこと。そして、今、設計している建物に、見つけ出した「心地よさパターン」を、織り込んでいくこと。

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正面に見える山並みの向こう側に、これから家を建てさせてもらいます。

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竣工は来年の春でしょうか。それまで、何回も残照館にお世話になりたいです。

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KAITA EPITAPH 残照館

https://mugonkan.jp/2020/06/329/

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残照館は、前山寺の参道に面しています。この前山寺も心落ち着く所です。

https://anity.ootaki.info/9326/