「玄関室 ⇄ ＬＤＫ ⇄ 寝室」ひと回りできる回遊性を持つ動線
〈9315〉
https://anity.ootaki.info/9315/
築40年の戸建て住宅を、車いすユーザーが住まいやすいように、全面バリアフリーリフォームをしました。以前の間取りに拘らず各部屋を再配置しましたが、もっとも位置が変わったのは「玄関室」でした。以前の玄関室は、道路に面した南面にありましたが、北面の中央に配置しました。この位置を玄関室にすることにより、外部では十分なスロープを作れ、内部では廊下をなくすことができました。
回遊性を持つ動線の起点となるのが、廊下を兼ねた4帖の玄関室です。車いすの乗り換えスペース、外用の車いすを置いておくスペースとしても使います（ 2020.08.06）
2020.08.07
南面の道路から北面の玄関室まで、家の外周に沿ったスロープを上がってくると、この玄関室に到着します。住まいてさんは、若い車いすユーザーさんなので、リフトではなくスロープで段差解消することになりました。
住まいてさんは外用と内用の、2台の車いすを使っています。車いすから車いすに乗り換えるのではなく、このベンチを利用します。外用車いすからベンチ、ベンチから内用車いすと、乗り換えるそうです。
車いすを乗り換えるためのスペース、外用の車いすを置いておくためのスペースとして、玄関室は広めの 4帖にしました。ベンチ正面の引戸の向こうは、ＬＤＫになっています。
ＬＤＫは 8.5帖ですが、構造上、抜くことができない柱が 1本残りました。バリアフリーキッチンの手前の出窓の脇に、テーブルを置くことになります。
バリアフリーキッチンの左側に見える引戸の向こうは、以前の玄関室と 2階への階段があります。
キッチン前から振り返ると、左側の引戸は玄関室に、右側の引戸は寝室に繋がります。引戸は全てバーハンドル付きで、開口幅 は 85cm確保したので、行き来しやすいです。
寝室からも玄関室に行き来できるので、「玄関室 ⇄ ＬＤＫ ⇄ 寝室」と、ぐるりとひとまわりできる、回遊性を持つ動線となりました。
7.5帖の寝室には、まだ何も置かれていませんが、腰窓の下にベッドを置くことになっています。掃き出し窓の向こうは道路です。この掃き出し窓から、車いすで出入りすることはないのですが、緊急時に避難経路として必要でした。
ベッドの枕の位置からは、こんな景色になります。左側の引戸はＬＤＫに、右側の引戸は玄関室につながります。
玄関室側の引戸を通り抜けると、すぐ右側が水回りスペースなので、ベッドから洗面室やトイレにすぐに行くことができます。
玄関室から始まり、ＬＤＫ、寝室とひとまわりしてきました。この回遊性こそが、このお住まいで一番大切にしたかったところでした。
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